甘い深夜の珈琲は生存確認
お湯を沸かして珈琲をいれる。ルカが部屋にこもって出てこない時の決まり事だ。
僕は紅茶が好きだ。スプーン1杯の砂糖とミルクをたっぷりと入れる。
ルカは珈琲が好きだ。
砂糖もミルクも入れない熱い珈琲を啜る姿を見つめる。苦いお湯を飲んでいるというのに、ルカは美味しそうにほうっと息を吐いた。
僕はこの時間がとても好きだ。ルカの綺麗な横顔を見ながらぼんやりと思う。
ダークグレーの瞳。機械弄りに没頭しいる時はいつも垂れている目尻がキリリと吊り上がっている。
過集中がぷっつりと切れた時に、僕の存在に気が付いた時の申し訳なさそうに下がる眉尻。
「アンドルー。来てくれていたのか。すまない」
耳を優しく撫でるような僕よりも少し低い声。
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