めまい虚無感や脱力感というものは。元々何かを持っていたと思うから、起こるものだ。
そもそも空っぽの自分には。そんな感情も、起こり得ない。
やり遂げたという思いは、抱いた。
病室で横たわっていたベッドから身を起こし、降谷は頭に手をやる。こんなことをしている場合ではない。大仕事を成し遂げた後の。事後対応や後始末こそ、困難と多忙が甚だしい面がある。
ただ、頭はふらついた。身体のあちこちは痛むが、それ程大掛かりに固定されたり処置されているわけではないのに。意識だけが、朦朧としている。
おかしい。あの因縁の組織に対する大規模作戦を決行し、激しい攻防と策略の末、制圧を成し得た、という感情と覚えは確かにある。やりきった、果たした。その時自分が抱いたのは安堵と達成感だったのだろうか。
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