悩ましき服装(降志)「タートルネックのニットって、ちょっとアレじゃないか」
「はい?」
庁舎に缶詰三日目ともなると、言動が混迷の度を深めてくる。降谷零があまりにも真面目な顔をして言うので、最初は今関わっている案件に関する話かと思った。が、どうやら違うらしい。風見裕也は適当に相づちを打つことにした。
「アレ、というのは?」
「こう、この辺を強調するというか」
降谷は、両手で胸の前に膨らみを表すように曲線を描く。
「ああ、いわゆる“おっぱいニット”というやつですか」
「は? おっ…?」
今度は、降谷が困惑する番だった。
「おっぱいニット、というらしいですよ。そういう胸部を強調するニット」
あくまで真面目に、風見は返答する。
「どこでそんな情報を仕入れてきた?」
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