【K暁】芽吹く春まだまだ冷たい風が肌を撫でていく。
本日の仕事を終えたKKは、胸元にあるボディバッグからスマホを取り出した。仕事中に何度か通知が来ていたから確認しないといけない。
仕事仲間である凛子からのものだったら厄介だ、仕事が増える可能性が高い。
今日は折角簡単な仕事ばかりだったというのに。
依頼があったビルでの穢れ祓い。マレビトとよばれる化け物もでることなく、さくっと終わった。いい日だ。
着信は凛子ではなかった。
送信者を告げるところにあるのは『暁人』の文字。それを見て、KKは僅かに口端を持ち上げた。
伊月暁人はKKの相棒といえる青年だ。
20近く年下。つい最近まで大学生だった。涼しげな目元を持ち、クールな印象があるが、実際にはころころと表情をよく変える可愛い印象のやつだ。
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