【忘形の交わり】□前半□
(やっぱやめときゃ良かったわ)
そう頭の隅で考えながらも、もう手は止まらない。
見下ろした先、自身の影の中で悶える友人。普段は溌溂と見開かれている大きな瞳は、今は切なげに細められ、日に焼けた肌の上には汗が滲み、微かにある雀斑の上を雫が伝う。苦しげな吐息、聞いたことのない掠れ声、肩にしがみつく指。いっそ知りたくなかった。暴くべきではなかった。変わらず『悪友』という関係でいたければ。
(まあでも、あんたが悪いわ。この私の前で隙を見せたんだから)
とんでもない濡れ衣だが、酒と濡れ場に酔った脳味噌は、罪悪感から思い切り目を逸らして自己正当化に勤しむ。あんな顔をするから悪いのだ。イブキのくせに、あんな、いやに色めいた表情をするから―――
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