タイトル未定 眠れば業火の夢を見る。皮膚の上を炎が走り、全身が高温に晒される。喉が焼ける熱さに叫び出しそうになる頃、目が覚める。汗だくの身体はマットレスを湿らせて、長いこと肩で呼吸をしてようやく収まる、そのまま朝まで眠れるはずもなく、ただ目を閉じて動かないでいる。
「エンデヴァーさん」
その夜は違った。聞き慣れた男の声が耳に届き、驚いて目を開いたところ、まず始めに天井が低い、と感じた。
反射的に身体を起こし周囲を見て、ようやくここが自宅で無いことを思い出した。大丈夫ですか、と再び声がかかった。声の主は、傍らで膝を付いてこちらを伺っている男、ホークスだった。
返事もせず黙っていると、ホークスは濡れた布を広げてべちりと俺の顔に押し当てた。冷たい水で絞ったタオルであるようだった。
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