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    Na0

    雑文をポイっとしにきます🕊

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    プルアが書きたくなっただけ。
    リンゼル要素はゼロ。インパに会う前にハテノにリンクが現れた話。
    プルアの口調難しいですね。
    日記の文体も成熟してから、どんどん精神年齢が後退していってるのが分かるし。勢いで始めて後悔しました。簡単に書き始めていキャラではなかった。

    「……行きましたか?」
    「シッ!まだヨ」
     初老に差し掛かったばかりのシーカー族の男が、ほっとして漏らした言葉を、同族の幼女が鋭い声音で制した。
     白髪に朱い瞳。ぱっと見では、祖父と孫と言ってもおかしくない二人。だが、場の空気から赤い鞄の子供が明らかに立場が上であるとわかる。
     幼女は、その場で作業を続けるふりをして、今出ていった顔見知りの青年の気配を探る。男もまた書架の方を向いたまま、それに倣った。
    外にある青年は、鼻歌交じりにこの研究所をぐるりと周って散策しているようだ。
    他人の敷地という後ろめたさは感じられない。堂々としたものだ。年配の男と少女と侮って、悪さを考えている嫌な気配もない。
    子供のような純粋な好奇心だった。
    階段の方向で一瞬鼻歌と足音が止まる。そして、すぐにトントントンと軽やかな段を登る音がした。
    「躊躇う素振りなく不法侵入。……登ってっちゃいましたね」
    「そーねー」
     少女は、立っていた椅子に勢いよく座り込んだ。腕は机に突っ伏す様にして、うなだれている。
    振り向いて、男は普段大切にしている書架にもたれるようにして、崩れそうになる体を支えるしかなかった。足がガクガクと震えていた。
    「所長……俺は感動してたんです。指示通り、上手く隠せていたと思うんですが」
    「ふん。あっきれちゃうわ。シモン。アンタ、里の隠密じゃなく研究員になって正解。バレバレ」
    「そ、そんな?! だって、幼い頃から何度も聞かされた『退魔の騎士』様を前にあの演技!褒めてほしいくらいですが」
     所長と呼ばれた少女、プルアは情けない声をあげるシモンに顔だけ向けて悪態をついた。
    彼が少年の頃。村で浮くくらいの、その勤勉さと実直さを見込んで弟子にとった。自分の目に狂いはなかったとプルアは思っている。
    やはり、その肝が座ってないあたりとか、とにかく里に残さなくてよかった、と。
    「『退魔の騎士』ね。本当に……あの時のまんまヨ。しかも、生きてる!? 動いてる!? 記憶や常識とかは、やっぱ回生の副作用で欠落しちゃったみたいだけどネ」
    「そのようですね。あの振る舞い。下手したら騒ぎになりかねない。これから世界を救う勇者となる人物があれでは」
     シモンは手にしていた書籍を机に、やっとといった体で自分の椅子に倒れ込んだ。どっと襲われる疲れに、背中が丸い。
    「あったま痛いわ。まだ生っ白いけど、あれはすぐにしゃんとするわヨ。なんせあの『天才剣士クン』なんだから。何でシーカーストーンのマップに設定しておいたカカリコじゃなくて、こっちに来たんだろ……帰巣本能ってヤツかしら」
    「あぁ、確かあの村の入口横の廃屋が生家でしたね」
    「村人はほとんど忘れちゃったみたいだけどネ。とりあえず、シモン!まぁアンタにしては良くやったわ。インパへの伝書ヨロシク」
     指示を出して、上階の気配を探る。
    目立って大きな音はしないが、気配を消しているわけではない。望遠鏡に二人の私室。
    見られて困る物は置いていないので、まぁ壊されたら幼女のフリして泣き叫んでやろうか。そうしたらあのまっさらな彼はどうするだろう。と、プルアは思考を巡らせた。
     思い起こしても無表情で、鼻につくほど模範的。それが英傑リンクの印象だった。
    (話したことは、何回か。何を話したのか覚えてもないワ。けど、無事な回生を祈って、あの青く光る部屋の扉を閉めた時をはっきりと覚えてる……)
     生きてる。変わらぬ若い姿のままで。そろそろ起こしにさえ行こうかと思っていたその姿を研究所の扉に見た時、プルアの胸に去来したのは驚きだった。
     長寿であるシーカー族である自身の体が悲鳴をあげ始め、待てぬと感じたのもある。それに比べて短命なハイラル人の肉体の限界からも、そろそろと思った。けどそんなものは杞憂だった。
    古代遺物と呼ぶ祖先の技術は、想像を遥かに凌駕して、記憶と引き換えに肉体の定めたる老いをどこかへと追いやり、傷を治癒させた。
     研究者としてまだまだ未熟だわ。と、プルアは口をへの字に曲げた。回生は、成功した。それしかない、と。古代技術に縋るしかなかったあの日に思いを馳せる。
    生き証人のプルアには、辛い思い出だ。思い出す度にこの世の全てを呪いたくなる。
    (アタシはずっと怒ってる。百年前からずーっと。厄災に。1万年前に上手く立ち回らなかった一族に。技術の進歩を絶たれて古代遺物だなんて呼ばれちゃってさ。古代?遺物?冗談じゃないわヨ。あんな高度な物を。細々と知識を繋げてきたアタシ達にだって、もはや発掘して絡繰を推察し、いじるしかない。新しく作る事は難しい。ハイラル王国を信じていたわけではないけど、予算をくれるから言われるまま研究所を作って、発掘に整備。毎日寝食を忘れて磨いたガーディアンをあの日、奪われた。炎の中に見たあれは……とても美しかった)
     そっと朱い瞳を閉じる。
    悔しさと自分への嫌悪と研究者としての矜持。綯い交ぜとなった感情を整理できぬまま年を重ねた。
    見つめ直す暇もないほどの日々、それを過ぎても時には見ないようにして。ただ、この時。リンクに伝承する為の命を抱えて。
     だが、待ち続けたその時に彼女が取ったのは知らんぷりする事だ。記憶の無い人に何を語ろう。プルアはずっと考えてきた。姫を。世界を救う。大業を成すには、他人の言葉では事足りぬ。まず自身の目で、この世界の現実を見て、その意味を自分の物とせねばと思ったのだ。
     それが吉とでるか、凶とでるかはわからなかった。信じられる程の根拠もない。しかし、あの姫が最後まで信じた彼を信じるしかないと、思っていた。
    この世界の端役としては。
     思慮深い妹ならば、端また少し言葉に難がある同僚の彼なら、どうしたろう。プルアは思った。
    思っても答えのない物は、すぐに意識から消し去る。
    代わりにふつふつと湧くのは、自身への苛立ちだった。
     百年かけた懸案。アンチエイジ。若き日の自分が思い描いたのは、人的資源の有効利用だった。
    年老いてからは自分の欲と宿命の為に。そして、目覚めたリンクとゼルダ姫の為にと思っていた。
    いくら傷が癒えたとはいえ、年老いた体に厄災討伐は不可能だ。成したとしても、そのまま命潰えるなど目覚めも悪い。
     なのに1万年も前の古代の同胞はそんな事もお見通しだったかのように布陣を整えて、私達のような後進の幼子に手を差し伸べるかのようではないか。
    「祖先の技術とはいえ、くっやしー!」
    「所長?」
     急に大きな声を出したプルアに、シモンは椅子の上でぴょんっと飛び上がった。
    「いつかアタシだって、あれくらい作ってやるんだから」
    「所長ー!」
    「うるさいわネ!聞こえてるわ!」
     悔しさをにじませる。
    新しい装置が成功した暁には、この渦巻く気持ちは消えるだろうか。
    どうだろう。プルアが、そっと手を伸ばしたのは自作のシーカーストーンだった。
     スマートではない。軽量も携帯性も夢のまた夢。それを発展させるだけの猶予を手に入れた代償は、何を成すにも拙く動く若さしかない手だった。それを動かす脳はどうだろう?感情もまた稚拙な物に成り下がってはいやしないか。
    プルアがドロドロと溢れ出す感情に知らず唇を噛みしめると、悔しさの味が滲んだ。
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