吸血鬼の能力により30年後からやってきたロナとドラと以下略 それは、あまりに雑すぎる導入であった。
「フハハハハ、私の名は吸血鬼タイムトラベル、私の能力は、」
「ソォイ!!!」
「ぐはっっっっ!!!!」
口上を述べている吸血鬼を殴り飛ばした、ロナルドの姿を極彩色の光に包まれる。
吸血鬼が発光しているのだと解った瞬間、時計の秒針が進む忙しい音が周囲を包む。吸血鬼のなんらかの能力が発動したのだと、高等吸血鬼であるドラルクにとっては、その事実だけを知ることは容易かった。
ただ、対処できたかと言えば、それは無理な話で。
眩むという言葉に相応しい眩しさ、光の瀑布にドラルクは思わず目を瞑ってしまう。
カチン。
時計の針が進む、無機質な音が鼓膜を強請る。
同時に襲ってきた産毛が逆立つような不快さは、フクマによって亜空間に引きずり込まれる感覚に近い。
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