剣を持つ姫夢の中で私は剣を振るっていた。
ある日は城の中で兵士たちに指示をし、ある日は甲冑をつけ兵士たちとともに戦場に赴き、ある日は船の上で船員たちと共に戦っていた。
機械をいじることが好きだが、こう何日も夢に見るともしかしたら剣を持てというお告げなのかもしれない、自分には剣の才能があるのかもしれないと思うようになった。
思いきって教育係に話してみたが、
「いえいえ、そんな危のうございます」
そう言って剣を触らせてくれようともしない。
そんな話をしながら不貞腐れているところに、ハイラル王である父が現れた。
後ろにはゲルドの女王、ウルボザもいた。
「ウルボザ!お久しぶりです。来ていたのですね」
母の友であり、自分の母であるような、大好きな友人に満面の笑みを浮かべる。
「元気にしていたかい?おひいさま」
「えぇ、変わりありません」
おほん、と父の咳ばらいを聞いてそちらをむく。
「ゼルダ、何をしていたのだ?」
そう聞かれて体が強張った。
また反対されてしまうのだろうか。
そう思いながら、夢の話から剣を触ってみたくなったことを話した。
「ダメだ」
ハイラル王の一言はとても重く聞こえる。
「お父様!姫であろうと自分の身は自分で守れないと、いざというとき自分も民も守れません!」
負けじと反論するが、父の目は冷たい。
しかし、説得が聞いたのだろうか、父はため息をつくように兵士に剣を貸すよう指示をした。
兵士の剣を手に取った。なんて重たいのだろう。
自分と同じくらいの大きさの剣の柄を握り、構えようとしたが重くて持ち上がらない。
振り上げようとしたが、持ち上げることもできず剣を落としてしまった。
これはこれは危ない危ない、と周り者たちが片付け撤収していく。
夢はただの夢だったのだろうか、と自分の手を見て落ち込む。
「ゼルダ、剣は兵士たちが持ちお前を守ってくれる。お前が剣を握る必要はない」
なだめるような父の声に虚しさを感じる。
「ハイラル王よ、一つ提案があるのだが」
声をあげたのはウルボザだった。
「私がおひいさまに剣の扱いを教えよう」
周りの従者たちがどよめいた。ウルボザは不適の笑みを浮かべ、ハイラル王は少し怖い目をしている。
「なぁに、おひいさまを戦士に育てるというわけじゃない。教えるのは剣舞、踊りさ」
「剣舞ですか?」
「そう、戦うことが目的ではないけど、剣舞によって心身ともに鍛えることは祈りの修業をするおひいさまにとっても悪くないことだと思うよ」
ハイラル王はゼルダに目を見て、少し考え、それならいいだろうと承諾してくれた。