すきまをすくう 二 とらえた思ったときには、左足がなくなっていた。がくりと崩れたバランスに、倒れこむ間もなく閃光が視界を埋め尽くす。
ちりぢりに意識が途切れた次の瞬間にはトリオン体は元の形状を取り戻しており、すでに二戦目が開始されていた。
初めこそ、私と太刀川の関係に対抗意識を抱いているのではとほのかな微笑ましさを覚えたものの、ハンデと言って片腕を斬り落とし、手首からトリオン漏れを起こしながらフルアタックのホーネットを撃ってくる二宮くんの姿は、私に新たなトラウマを植えつけた。悪夢を悪夢で上書きしてどうする。彼が私に向けている感情の内訳がさらにわからなくなり、私は五度目の戦闘不能状態におちいりながら今後のコミュニケーションに不安を抱く。
5720