義勇さんはたいそう困っておりました。かの、弟弟子の、竈門炭治郎を見たり思ったりすると、どうにも胸の奥が締め上げられたように苦しくなって、全集中の呼吸も乱れて、しばしば寝付きが悪くなるからです。
それなら竈門炭治郎のことを見たり思ったりしなければいいってのは道理なのですが、義勇さんは弟弟子思いの優しい兄弟子でした。それはできない頼みなのです。
義勇さんは鬼殺の剣士ですから、具合が悪い理由にひとっつ心当たりがありました。もしかしたら、先日斬って捨てた鬼の血鬼術が悪さを働いてるんじゃあないかしら? 早速しのぶさんとこへ相談しようかと思いましたが、あいにく、しのぶさんは任務のため何日もお留守なのでした。
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