ごはんを食べよう13 マグカップに卵を一つ、溶き入れる。
サラダ油と砂糖を混ぜて、最後にホットケーキミックスをよく混ぜる。
ホットケーキミックスはお菓子作りの細かいコツなんかを全て吹き飛ばしてくれる素晴らしい発明だ。
荘園で、趣味でお菓子を作っていた女性サバイバーなんかはこぞって欲しがるのではないだろうか。
ダイニングキッチンと続き間になったリビングのソファに座り、じっとこちらを見ているイライに「すぐできるよ」と言ってマグカップを電子レンジに入れる。膨らむまで二分。
あとは電子レンジに任せるだけだ。
我慢が出来なくなったのか、イライがキッチンまで寄ってくる。
「楽しみだなぁ」
電子レンジの中を見つめて、カップケーキが膨らんでいくのをイライと共に見る。
もこもこと膨らんでいくたびにイライが歓声をあげるのが微笑ましい。
あっという間に二分が経った。取り出して爪楊枝を刺し、何もついていないことを確認して完成だ。
「イライ、先に食べてていいですよ」
「ううん、待ってる。一緒に食べよう」
「では、もう二分、待っていてください」
もう一つのマグカップには少しココアを混ぜてある。焦茶の生地が入ったマグカップをレンジに入れて、これも二分。
「ココアもいいね」
楽しみ、と言って電子レンジの中を見ているイライの背後で、シンクに入れた大さじや混ぜるために使った箸を洗ってカゴに入れる。
気付けばテーブルの上にはフォークと紅茶が用意されていて、爽やかな紅茶の香りとカップケーキの甘い香りが鼻腔をくすぐった。