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    nameko135

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    毎日納占16日目。ご飯を食べる納占。

    #納占
    nana

    ごはんを食べよう16「……」
    少しの逡巡の後、口を開ける。
    口の中にそうっと差し入れられたマグカップケーキの味なんてわからなかった。
    「美味しい?」
    「……はい」
    それ以外になんと言えるだろう。
    ずるい、と思った。イソップはイライが好きで好きでならないのに、イライの方はこんなふうにイソップを翻弄する。
    イソップはくすくす笑うイライの手をフォークごと掴んだ。
    「イソップくん? どうし、」
    どうしたの、なんてその先を、イライが口にすることはなかった。
    かたん、とフォークの落ちる音がする。
    イソップが口付けたのはイライの右手の甲で、イライはそれに驚いていた。
    「イライ」
    じっと上目になって見つめると、イライは急に焦ったようにしどろもどろになった。
    あー、うー、となにかもごもご言った後、ややあって「ごめん」と呟く。
    その顔は耳まで真っ赤だった。
    ああ、好きだと思う。
    イソップの恋心を弄ばれているのだとしても、それでもいいと思えるくらいにイライを好きだと思う。
    イソップは切り分けたマグカップケーキをイライのマグカップに放り込み、イライのフォークを拾った。
    「交換、ですよ」
    「……うん」
    言って、もごもごとケーキを食べるイライの顔は赤いままだ。
    「どうですか?」
    「味、わかんない……」
    そうでしょう、と頷いて、イソップは自分のマグカップの中身を空にした。どきどきしすぎてケーキの味はしないのに、空気が甘い気がする。
    なんだかおかしな気分だった。
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