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    nameko135

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    毎日納占20日目。
    ご飯を食べる納占の話。シチュー。

    #納占
    nana

    ごはんを食べよう20にんじん、じゃがいもを一口大に切り、玉ねぎはくし形に切る。
    オリーブオイルで玉ねぎを炒め、透明になったらじゃがいも、にんじん、厚く切ったベーコンを鍋に追加して炒める。
    ある程度火が通ったら水を入れて、灰汁を取りながらコトコトと煮る。
    いつもならなにくれと理由をつけて料理しているところを覗きにくるイライが、今日はソファに座ったまま動かない。
    手を祈りの形に組んで、額をつけてじいっとしている。
    鍋の火を弱めて蓋をする。
    タイマーをかけてイライの元へ歩み寄る。その隣に座ると、触れた肩からイライの少し速い呼吸が伝わってきた。
    イライは、あの荘園に帰りたいのかと思っていた。けれど、何か、そうではないと感じる自分もいた。勘のようなものだけれど、イライの執着はあの廃墟となったエウリュディケ荘園にはない気がした。
    「イライ」
    「……」
    イライの組んだ手に手のひらを重ねる。
    びっくりするほど冷たいそこが、イソップの体温を吸って僅かに熱を灯す。
    「イライは、ここに来たことを後悔している?」
    「……」
    「僕は後悔してないです。僕のせいであなたをここに連れてきてしまったのだとしても、それが身勝手なことだとしても、僕はあなたとここにいられて嬉しいから」
    イライの手が震える。怖がらせたかもしれない、と思った。
    それでも、これはイソップの本心だったから、口に出せたことで少し心の中の重いものが降ろせた気になった。
    「イライは……」
    「ちがう」
    「え?」
    「違うんだ」
    イライは緩慢な動きで顔を上げた。目と目があう。群青の目には、いっぱいの涙が溜まっていた。
    「君が、ここに来たのは、私のせいなんだ」
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