自己犠牲に泣き顔 ──パン!
薄暗い部屋の中、高い破裂音が響く。
──パン!
部屋の主である自分は目が見えない。
だからもったいないと言って部屋に明かりを点けることはあまりなかった。
ぼんやりした明かりが照らすのは、青い透けるような装束を身に纏った黒髪の青年と、白いフードを被った盲目の自分だった。
何故か顔立ちや色のわかるその青年は、とんでもなく怒っていた。
「ひ、ぁ……い、いたいぃ……!」
えぐえぐと涙を流す自分は、日に焼けない白くまろい臀部を晒している。
そこを何度も、何度も叩かれて、いまやその尻には紅葉のような痕が残っている。
しかし、泣いたからと言って青年の手は止まらない。
むしろ、痛いと悲鳴を上げる度に美しい青年の眉間には皺が寄り、その手に力が籠るありさまのだった。
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