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    hy_tatsuhiko

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    「ウツボカズラガ嗤ッタ 後日談」
    Dom/Subユニバース夏五
    Dom夏×Switch五
    ・良い作品が書けそうにないのでよかったらアドバイスください

    パチリ。
    やわらかな眩しさにあてられ、目が覚める。
    閉じられたカーテンの隙間から、微かに注ぐ日の光。その穏やかな明るさに、ゆらりゆらりと脳が覚醒してゆく。恐ろしく怠惰で、平和な朝である。
    目を擦りながら身体を起こし、手狭なワンルームを見渡す。対角に位置するささやかなキッチンで、傑は朝食を作っているようだった。
    「おはよう、悟。もうすぐできるから、服着てそこで待ってな」
    その声に、まだうつらうつらしていた脳がしゃん、とする。
    昨夜脱がせられたルームウェアは、丁寧に畳まれて、布団の傍に置かれていた。はじめは目の当たりにする度に、己を恥じた情事の痕跡も、日常と化してしまえば麻痺してゆく。何の感慨もなく服を身に纏うと、自分を構築するものが剥がれゆくようだった。

    傑が朝食を作るのを、お決まりの姿勢でただ眺める。はやくとなりへ行きたい。身体がむずむずするのを感じて、そわりそわりと身体を動かす。目はこちらを向いていない筈なのに、何故かそれを察した傑がCommandを放った。
    「悟、Stay。まだ待ってなさい」
    その命令に背筋がピキリとなって、姿勢を正した。言葉に身体が縛られるようで動かせないと、いっそう欲はじとりじとりと蓄積する。飛び出したい衝動を抑えて、じっと耐えた。
    どれほど経っただろうか。傑は朝食をこじんまりとした机に運ぶ。たったひとつしかない椅子に腰掛けると、こちらを見下ろしながら愉しげに言い放った。
    「Crawl」
    その命令に四つん這いになる。焦らしに焦らされた待ての縛が解け、徐々に欲が四肢を伝って流れ出す。その熱で、ゆらりゆらりと腰が無自覚に揺れる。身体を抑えつけられぬ姿に、意地の悪い笑みを零すと、傑は次の命令を出した。
    「Come」
    四つん這いで傑の元へと向かうと、ぺたりと隣に跪いた。余裕気な傑に対し、既に高められた身体で擦り寄り、ハッハッと荒い息が漏れる。熱の篭った瞳でじろりと傑を見て、視線で褒美をねだった。さらに数秒焦らされたあと。頭上から飴が降ってきた。
    「Goodboy」
    その甘やかさにぱんと脳が弾けて、ぴくりぴくりと震えたあと、ガクリと脊髄から下に落ちる。一瞬虚ろになった意識を引き戻し、姿勢を正した。再び視線が交わると、傑は皿を右手に持ち、口の前に差し出してきた。
    「ほら、食べな」
    当然手を使う権利などない。口をかぱりと開くと、舌と歯を器用に使い、食材を口に入れてゆく。皿を綺麗にするように舌で油も液も舐めとると、左手で頭を撫でられた。
    「上手くなったね、悟」
    それだけでふわりふわりと脳が溶けてゆくのだから、全く難儀な構造をしている。


    夏油傑が離反した。
    その情報が耳に飛び込んだ瞬間、でろでろに緩みきった脳の回線はバチッと強度を増した。Subとして絆され、人間としても盲信し切り、預けきっていた自身の半身が、突然返還されて重みを感じた。
    彼のことだ、必ず真っ当な理由はある。それは冷静な自分の判断でも変わらぬ、夏油傑という男を信頼してる側面だ。だがそれを踏まえても理解できないことは当然ある。何れ引っ捕まえて説明してもらわねば。久々にまともに回る頭がおかしかった。
    だがその日のうちに身体から耐え切れなくなった。彼に長らく服従し切っていた身体が、帰らない主人にもぞりもぞりと動き、急速に脳を侵した。欲と不安感でぐちゃぐちゃと崩れて、アンバランスな四肢を引き摺って寮を抜け出す。説明してもらうだけ、自分にそう言い聞かせながら。

    その日中に彼を見つけられたのは犬の嗅覚か赤い糸か。
    彼を見つけた刹那。ぞくぞくと歓喜に震えて、その場に崩れ落ちそうになる。辛うじて体勢を保ち、説明しろと鋭く叫ぶ自分に、表情を消した傑が言葉を返す。その主張を理解できず糾弾するも、何かを捨て置いたかのような顔で傑は去ってゆく。反射的に声が漏れて、引き止めてしまう。
    「まって」
    情欲の滲んだ声音に、自分でもぞっとする。
    「何」
    呼び止めたものの、言葉に詰まる。これ以上語り合えど、相容れないのはわかっていた。否、傑が相容れないように話を仕向けているのだ。傑は大義と語りこそすれ、それを共有、或いは啓蒙することを望んでいない。一術師としての自分を籠絡はしないのだ。
    迫られた二択。
    Subとしての己を捨て術師として敵対するか。術師としての己を捨てSubとして服従するか。
    いっそ、根の思想から騙し切ってくれれば良かったのに。いっそ、Domとして追従を命じれてくれれば良かったのに。それをしないのは傑の真面目なところで、優しさで、酷さだ。
    だから、最低な三択目を用意した。
    「すぐる」
    Sub性に身を任せると、へなへなとKneelの体勢に身体が崩れる。
    「おれ、オマエについていく」
    傑は冷たい瞳でこちらを見下ろしていたが、やがてふっと瞳の色を変えた。その奥に閃光が走るのが見える。彼は膝立ちになると、頭を抱きしめて後ろから撫でる。
    「ちゃんとSubにしてあげるからね」
    だから、安心して堕ちておいで。
    やさしい声音に不安感が霧散して、脳が安心感でふわりふわりと溶けてゆく。理性が落ちそうになるのを耐える為、ギッと唇を噛んだ。
    最低な三択目。
    それは、術師としての自我を抱えたまま、Subとして付き従う選択肢。
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    hy_tatsuhiko

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    Dom/Subユニバース夏五
    Dom夏×Switch五
    ・良い作品が書けそうにないのでよかったらアドバイスください
    パチリ。
    やわらかな眩しさにあてられ、目が覚める。
    閉じられたカーテンの隙間から、微かに注ぐ日の光。その穏やかな明るさに、ゆらりゆらりと脳が覚醒してゆく。恐ろしく怠惰で、平和な朝である。
    目を擦りながら身体を起こし、手狭なワンルームを見渡す。対角に位置するささやかなキッチンで、傑は朝食を作っているようだった。
    「おはよう、悟。もうすぐできるから、服着てそこで待ってな」
    その声に、まだうつらうつらしていた脳がしゃん、とする。
    昨夜脱がせられたルームウェアは、丁寧に畳まれて、布団の傍に置かれていた。はじめは目の当たりにする度に、己を恥じた情事の痕跡も、日常と化してしまえば麻痺してゆく。何の感慨もなく服を身に纏うと、自分を構築するものが剥がれゆくようだった。

    傑が朝食を作るのを、お決まりの姿勢でただ眺める。はやくとなりへ行きたい。身体がむずむずするのを感じて、そわりそわりと身体を動かす。目はこちらを向いていない筈なのに、何故かそれを察した傑がCommandを放った。
    「悟、Stay。まだ待ってなさい」
    その命令に背筋がピキリとなって、姿勢を正した。言葉に身体が縛られるようで動かせないと、い 2168

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