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    あいる

    表ではなかなか載せにくいものをあげる場所になると思います。
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    あいる

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    ノルデとバロンの小話。

    #あいるのお空のらくがき
    aiirusSkyScribble

    ある日。「………君、またそんな所で寝ているのか」
    うとうとしていると、後ろから呆れ声が聞こえた。
    きっといつもの『彼』だ。

    「あれ? ここってどこだったかな」
    「はぁ…そのタレ目かっ開いてよく見てみなよ」
    「ん?」

    廃れて壊れた建物に、腐った泥のような水。所々に咲いた闇花。頭上に蠢いているのは暗黒竜ー…
    「あらまぁ」
    捨てられた地の辛うじてマンタがいるエリアだった。

    「眠い時にこんな場所に来るなよ。草原にしろって言ってるじゃないか」
    「ふふ、あなたは優しいんだね。わざわざ僕を起こしに来てくれるなんて」
    「うるさい。ついでだ」
    「あ、ノルデ」

    体を起こし、第一に目が合ったのはとんがり帽子に黒マントの少年体躯。不服そうな顔をして自分を見下ろす彼ーー…の次に目が合ったのは青いサーチライトだった。
    「ん?」

    バチっという弾ける音と共に怪物が唸りをあげる。彼が逆光を浴びて輪郭が赤く照らされた。
    「後ろ、龍だよ」
    「ほら言わんこっちゃないじゃないか!」
    彼は慌てて自分を引っ張っていき、岩陰に身を寄せさせた。ノルデは一人旅をしていて、流石龍の回避には気転が効いている。



    肩を縦に揺らすノルデは、吊り目を更に釣り上げていた。
    「…『龍だよ』じゃないんだよ…逃げろよ」
    「ふふ、そうだね。怖かった」
    「怖い…? 君のどこにそんな感情が」また彼は呆れる。

    「あるよ、ほら」
    バロンは彼に手を差し出した。手を繋いだ時、聴こえるのは生きる光の鼓動。
    ノルデとバロンは片方ずつの手のひらを重ねて握った。僕たちの中には言葉以上に明確な音がある。
    「…………」
    「ふうん」

    彼は興味なさげに外に目をやった。顔は見えない。
    「鼓動が早いのは君が『怖い』と感じたという証拠だ…珍しいこともあるものだね」
    「珍しくないよ。だって、びっくりしたんだよ。怖いじゃない…あれは龍だもの。わかるでしょ」
    自分は結構本気だ。あれに対する怖い感情くらい知っている…つもりなんだ。知っているだけかもしれない。

    「…いつもヘラヘラしてるから気付けないんだ、ばか」
    「そうは言うけれどあなたは僕を助けてくれる」
    「…もう2度と助けない」
    「それ、前も聞いたよ。ありがとうノルデ」
    「うわー!調子狂うからもう何も言うな!」

    僕は素直に礼をしただけなのに、彼はどうも素直になってくれない。いつものことだけれど。
    でも僕は、この空間が心地よくて、好きだ。

    「僕は楽しいけどね」
    「………楽しくなくはないけどさ」

    1人が好きな僕らの、自由な日々の、とある一瞬。
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