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    金平糖です。

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    白鬼企画

    やきもち賑わっているのが嘘のように静かな路地裏
    店と店の隙間に鈍色の白と黒が蠢いていた
    しばらくの間言葉も無く必死で貪り合っていた影は少し離れお互い見つめ合っていたがしばらくすると白い影が黒い鬼をひと撫でし消え入るような声で囁いた

    「なんで?」
    鬼は首を斜めに傾け視線を逸らすと何ともなしに
    「仕事が終わったので?」
    と答えた。

    連絡しないつもりが無かった訳ではないが時間が無かったのも事実、、、それ以上に声を聞くと色々と我慢出来なくなってしまう自分がいそうでそれは癪に触る。と言うのが真実

    長い連勤を終えてやっと休みを掴み取ってやったので直ぐに連絡はせずゆっくりとアレの元へでも向い驚かせてやろうかと目論んでいた。
    アレの元に向う道中の時間は鬼の密かな楽しみだった。地獄から抜けた途端に薫る常春の風に吹かれて夜露に濡れた草花をさくりさくりと踏み分けながら、夜に浮かぶ月を眺めながら、夜空に歌う虫の声に耳を傾けながら、蛇行していくとゴールのようにポツリと建つ漢方薬局の灯りが見える。静かに扉を開けると連絡をせずとも待っていましたと言わんばかりに椅子に片膝を立てて温厚な神がにこやかな笑みで待っている。瞳の奥の獣を隠しきれずに、、鬼はその瞬間がお気に入りだった。
    そうと決まればと身綺麗にして誰に悟られる事はないが浮き足たてながら愛しい獣の元へ足を向けた。途中花街で酒でも買って行こうかと立ち止まった所で足が止まった。後ろから浮かれた声が聞こえてきたせいで、、、、
    鈴を転がした様な声に囲まれて実に間抜けなはしゃぎ声が聞こえてきたから
    心の中で盛大な舌打ちが出たのは言うまでもない、、嫌実際していたかも。
    だがまぁ楽しんでいるなら残念だが今日は用済みかと理解しあっさり納得して足を翻した所で腕を捕まれ物陰に引きずり込まれ今にいたる。

    「僕に連絡しろよお前僕をどれだけ放置してたと思ってるんだ!」
    「泣かないでくださいよ」
    「泣いてねーよ」
    何かいきり立っているがこっちはそれどころでは無い。予定が無くなったなら明日は溜まっていた研究をしたいしその為の準備を今日終わらせたい。明日ゆっくり惰眠を貪るために。なので早く解放されたい、、、、決して拗ねてるとかではなく、、、、

    「貴方だって遊んでたじゃないですか?」
    楽しみを奪われてしまったと言う気持ちが湧いてでたのか言うつもりは無かった女々しい台詞を吐いてしまった。驚く程に冷たい声で

    「あれはお前が鉢合わせして、、ヤキモチやくかなって、、、、」
    最後は小さすぎる呟きで聞き取れなかったので念の為聞き返す
    「ヤキモチ?」
    バツが悪いのか目を逸らしながら男は続けた
    「あんまり僕を放置すると他にフラフラ行っちゃう、、かも、、、、と言う、、、、危機感を、、、、自覚させたかったの」
    何か最後イキりながら言ってやった感をだしこちらを見ている
    「」
    「、、、、何か言えよ」
    「ご苦労さまです?」
    「何でだよ」
    「何でと言われましても、、」
    「はぁ、、お前ほんと、、もういい」
    落ち込んだ声色でそう呟くと神獣は項垂れそのままストンと座り込んだ
    頭の形いいな、だとか膝を抱えた指が綺麗で意外と気に入ってる、だとか一通り上から観察した後にストンと鬼も隣に座り覗きこんだ。
    その気配に気づきチラリと視線を寄越したが何も言わずにまた顔を埋める
    「白澤さん、、拗ねてるんですか?」
    「拗ねてる」
    神は恥ずかしげもなく寧ろ慰めろと言わんばかりに頬を膨らませて上目遣いで恋人を見つめる
    コレのこうゆう素直な態度は嫌いではない絶対言わないけど、、、と考えていると今の今までそれなりに煮えていた溜飲が下がっていくのが分かって自分もそれなりに焼いていたのか、、ヤキモチを、、と驚いた。
    いまだ拗ね顔でこちらを見たままの神の赤い耳飾りに手を伸ばし古銭をひと撫でしたついでに下顎を撫でてやれば
    「獣扱いするなよ、、、、」
    と呟きながら嬉しそうに花を飛ばし始めた
    そのまま肩を辿り二の腕を撫で数珠の下に指を滑り込ませ手のひらを重ねながら数珠を奪った
    「お前!それは大切な、、、、悪戯するなよ、、本当に大切な物なんだからな、、、、」

    本来なら他のものに触らせもしないだろう石をあっさり鬼が触れ奪うことを許したのでやはり明日の休みはこいつに使ってやってもいいと思ってしまった。まぁ分かっていたことなのだが、、、、憂さ晴らしに少し虐めてやるつもりでいたが所詮、自分はこの神の事をどうしようもなく好きなのだろうと思って恥ずかしいやら腹立たしいやらで無性に消し去りたい気分になってきた。神を
    苦虫を噛み潰したような顔で睨むと脅えたのが愉快でちょっと気持ちが楽になる。

    まぁそうと決まれば振り切るしかない。消し去る方でなく繋がる方を。が少し考え

    「ふむ。では人、、玉質です」

    自分だって正直今日はコレと朝寝をするつもりでいたのだ。まぁこいつのせいで台無しになったのだからこれ位は許されるだろう。と意味がわからないとこちらを見つめる神を見つめ返し
    「今日はこの子だけ連れ帰ります」
    と答えた。
    「は?」
    「明日全ての仕事をきっちり終わらせたら迎えに来てください。」
    「え?」
    間抜けな声で聞き返す神を無視するように立ち上がり怪しく光る玉の連なりに口付けると意味ありげな視線で白い塊を見下し数珠を愛おしそうに肚に添える。黒の中に朱がよく映えて
    1連の動作から一時も目が離せない間抜けな顔に僅かに微笑んむと
    「それまでこの子は肚で預かっておくので迎えに来てくださいね?」
    と鬼はゆっくりと伝えた。
    本当は自分が伺ってやってもいいのだが崩れた予定をやり直すのはやめにして待つ方を楽しみにする事にしよう。
    「肚?」
    「肚です」
    しばらく考えてやっと意味を理解したのかほろ酔いの顔がじわじわ歪みだしたのを冷静な顔で見つめていると飛びかかる勢いで掴みかかり
    「、、、、このまま行きたい」
    と火が吹き出るくらい紅く染まった顔で神が食いついてくるがそっと押し返しまた座らせる。顔だけ近ずけ耳元で惜しげも無く尾てい骨に響くようなバリトンボイスで囁く
    「野暮なこと言わないでくださいよ、、、、だって
    久々の恋人の逢瀬に手や口は雌臭いは記憶は無いはは、嫌ですよ?白澤さん?」
    「腰抜けた」
    「明日ですからね?」
    「無理、、勃起して動けない。」
    「酔ってても勃つの素直に尊敬します。では。」
    「ちょっと本当に!」
    「あぁそれと、、お疲れ様ですと言った意味ですが。」
    「へ?」
    「私がいつ休みかもわからないのに毎日毎日ヤキモチを妬かせるためだけに、花街へ出向いた事へと、無事ヤキモチ焼いたようなのでそれに対してのお疲れ様です、、です。」

    「わかったら早く機嫌を取りに来てください。ね?」
    と鬼は逞しいが白く長い右人差し指を小さな口元にそっと当てて酸漿の目を細め鋭い牙をチラリと覗かせた。神の数珠をこれ以上無いくらい大切に左手に絡め自分の豊満な臀部に意味有りげに押し付け漆黒の中から浮かれ騒がしい花街へ消えていった
    「ほんっと、、、、地獄」

    本当は自分だってあのまま掻き抱かれそのままアレと朝寝がしたかった
    正直女臭かろうが路地裏だろうがよかった。きっとアレもそん事など気にもしないだろう。
    ただ目の前の欲しいものが手に入ればいいのだから。だから手に入らない状況はアレにとって中々堪える罰になる。
    が今回はどちらも悪い。だから自分も我慢をするし安易な考えでヤキモチなど妬かせようと女の肩を抱いた事も一応気にはならないが反省させなくてはいけない。調子に乗るから。
    「躾の本でも買って帰りましょうかね?」
    とてつもなく欲求不満な顔をしていたなと帰り際に見た顔を思い出し少し笑みが零れる。
    きっとマテにマテを重ねて明日は手酷くされるだろう
    と考えふと足を止める。
    「それだと私にはご褒美になってしまいますね?」

    存外手酷くされるのが好きなのでわざと尾を踏みまくっているところは有る分、自分も言えないくらい悪食な自覚はある。

    「、、、、アレが来たら2連休だと教えてやりますか。」
    多分ご褒美になるだろう。
    そう考え至りまた鬼は歩始める。誰にも分かりはしないが浮き足立った足取りで、、、、

    「白澤様
    そんな恨詰めて大丈夫ですか?」
    「ん?あぁ,,,ごめんもうこんな時間かぁ,,,今日は早いけど桃タローくんお店閉めて休んじゃっていいよ」
    「はい。ご飯はどうします?」
    「あー僕もうちょっとやっちゃうから
    もう終わりそうなんだ~。君今日出掛けるんでしょ?僕の事は気にしないで」
    「そうっすか,,,ありがとうございます」

    「今日はやけに手早がったっすね?」
    「僕も予定があるからね」
    あまり見る事の無いような作業に感心しつつもいつもこうならいいのに、、と1つため息をついたあと桃太郎は違和感に気付く
    「あれ?白澤様」
    「なぁに?」
    「あの,,,いつも付けてる,,,」
    いつも肌身離さずまとわりつけているかれのアイデンティティが1つたりない
    「あぁあれ?あれは今ねぇ」
    温厚な笑顔をしていたはずの神が何かを思い出した様に喉を鳴らし嬉しそうに先程とは違う笑顔で目を細め隠す気などさらさらないと淫猥な目で答える
    「いい所に預けてるの。今からそれをお迎えに行くのが僕の予定」
    (うわぁ)
    「そ、、そうっすか、、じゃあ俺先に出ますね、、」
    「はぁい」
    何か色々ダダ漏れてたなぁ,,,


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    店と店の隙間に鈍色の白と黒が蠢いていた
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    「なんで?」
    鬼は首を斜めに傾け視線を逸らすと何ともなしに
    「仕事が終わったので?」
    と答えた。

    連絡しないつもりが無かった訳ではないが時間が無かったのも事実、、、それ以上に声を聞くと色々と我慢出来なくなってしまう自分がいそうでそれは癪に触る。と言うのが真実

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    アレの元に向う道中の時間は鬼の密かな楽しみだった。地獄から抜けた途端に薫る常春の風に吹かれて夜露に濡れた草花をさくりさくりと踏み分けながら、夜に浮かぶ月を眺めながら、夜空に歌う虫の声に耳を傾けながら、蛇行していくとゴールのようにポツリと建つ漢方薬局の灯りが見える。静かに扉を開けると連絡をせずとも待っていましたと言わんばかりに椅子に片膝を立てて温厚な神がにこやかな笑みで待っている。瞳の奥の獣を隠しきれずに、、鬼はその瞬間がお気に入りだった。
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