「もう三日もろくに食べてないらしいな。そんなんじゃ母国へ帰る前に死ぬぞ、お前」
今晩のメニューはレイジ特製の肉肉肉野菜炒めだった。テーブルに置かれた皿は運んできたときと同じ盛り付けのままで、艶やかな肉の表面には固まった脂が薄ら白く纏わりついてしまっている。ご飯と汁物にも手を付けられた痕跡はなく、冷たくなった食器類が何だか寂しそうだった。
「いつまでも意地張ってないで食べたらどうだ。レイジさんの料理はそこらの飯屋より美味いの
に」
食器の回収に来ただけの烏丸だったが、全く食べていないヒュースのことが無性に心配になってもう少しこの場に留まることにした。ベッドの隣に腰を下ろし、澄まし顔のヒュースをジッと眺める。生気に満ち溢れていた肌は全体がカサついて、そのせいか目元にどんよりとした影すら生まれて心配になる。玉狛に来てから数える程度しか顔を合わせていなかったが、大規模侵攻で対峙したときより明らかにやつれているのが見てとれて、どうしてここまで食事を拒むのかが烏丸にはわからなかった。
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