貴方だけ。「これと、そう、あとですね、」
嬉々としてタブレットを操作するアストス。念願叶ってジャックと同棲する事になった。
まさかジャックから言われるとは思わなかった。
しかも人前で。
周りはおろか自分でさえ衝撃のあまり固まっていた。そして動きが見えたと思ったら、アストスは涙が溢れ、ジャックは困り、いや、周りのみんなが困りに困った。混沌だ。
その中で必死に宥めるジャックの姿は、初めて見る顔をしていた。
…そんな顔を向けているのは私だと思うとさらに涙が溢れた。
「アストス、これじゃ足りないか。どう、すればいい。…」
そっと抱きしめられれば、貴方に包まれているようで酷く安心した。
可愛い、愛おしい。そう思ったのはいつ頃だったか。いつの間にか手元に置いておきたいと思った時には告白をしていた。…どうやら場所を間違えたようだが。気にしない。
伝えなければ、変わらないのだ。
ただ、泣いたのは驚いた。あまりの衝撃に自分ではないような事をしていたのを覚えている。
その時居たジェドに
「まるで別人みたいでさ、アストスの事羨ましいとか思っちゃった。」
と言われた。それぐらい驚いたという事なんだろう。
今もアストスはタブレットに夢中で、俺に何が必要だ、これなんてどうです?と家具やら何やらとこれから一緒に住む家に取り入れるものを選んでいる。
その可愛さたるや。
アストスは基本笑顔を見せない。色素は薄く、表情を変えない虚ろげな雰囲気で人を寄せつけないような物だが、親しい人には笑みを見せる。そしてその中でも目をキラキラさせてニコニコしている、というのは俺だけらしい。
…それにこの上から見る表情。
ただでさえ大きいアッシュより背の高いアストスだ。
自分より背の低い方に可愛さを見出す人もいるがアストスは別だ。高いというのに庇護欲までも湧いてくる。何故だ?普段は下から見ているのに今は上からお前を見れる。
何故だろうか?とても可愛い。
そんな優越感に浸りながら紹介された物に返答を返しじっと相手を見る。
今ここで撫でたらどんな顔をするだろうか。