愛寵の独裁者のボツシーン帝都に向かい揺れる馬車の中で、僕は何故かお兄さんの膝に背中から座らされ、その身体を長い腕で拘束されていた。
「き、貴様…!千変万化だったとは…俺を騙していたのか!?」
「いや、最初から言ってたし」
最初どころか何回か言っている。信じなかったのはお兄さんなので、この件で僕は何も悪くない。
「う、うるさい!お、俺を弄んだのか!?」
お兄さんは鼻息荒く怒りながら、何故か僕の身体を弄ってきた。
「ンッ、ちょっと、馬車の中はやめてよ」
しかもフランツさんの馬車だ。この中ですけべな事をしようものなら侮辱罪で打ち首だろう。身体をいやらしく這う手を掴み動きを止めると、お兄さんが焦ったような声を出した。
「!?なっ違う!手が勝手に…!」
1956