「ごめん!!」
退屈な授業が終わり、お弁当を食べようと学校全体がザワつく昼休み。窓の外は晴れ渡っている。そんななか、場違いにも思える謝罪と、勢いよく手を合わせる音が響いた。
「えっ、と?」
「ごめん杠!ごめん」
深く頭を下げ謝り続けているのは、杠と呼ばれた少女の友達のようだ。今にも泣き出しそうな様子に、困惑しつつも杠は優しく声をかける。
「落ち着いて、ね?怒らないから」
「うわ〜ん!女神か杠〜〜!」
「わお」
タックルとも形容できる勢いで抱きついてきた友人を危なげなく受け止めながら杠は苦笑した。少しは落ち着いてくれたようだ。
「それで、どうしたの?」
「うん…あのね、杠がくれたうさちゃんがね、その……」
話しながらじわりと涙が滲み始める。杠が大丈夫だよと優しく笑いかければ、震える手でカバンから小さなうさぎの人形を取りだした。
4432