喝采のそのあとで。「観劇ですか?」
新しい役目に就き、それはもう慌ただしい日々を潜り抜けてようやっと一息ついたあくる日のこと。ロンドは、これまたふらっとやってきた”選ばれし者”からの不思議な誘いを受けることになった。
意外だなぁ、というのが素直な感想だった。選ばれし者……ヨルン当人にはちょっと失礼かもしれないが、芸事には一切縁がなさそうなものだから。そんな彼から観劇のお誘いが出るというのが、これまた不可思議で仕方がない。
「チケットが回ってきたんだ。売るのも癪だ、付き合ってくれると助かる」
「ちょうど予定も空きましたし構いませんよ。公演内容はなんですか?」
しかも彼がどこか辟易とした顔をしているものだからまた謎だ。とはいえ、彼がやることは大抵突拍子がないのでロンドも慣れたものではあるのだが。
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