鮮烈の誓い。 はじめて、頭を打ち抜いてやりたいと思った。
パーディス三世に指輪を奪われエドラスへ渡った戦いでのことだった。パーディス王の手で将軍マフレズが殺された、そしてその場にいた団長ヨルンが濡れ衣を着せられてしまったのだ。弁解をする暇も与えられずセルテトを含めた仲間たちも捕らえられエドラスの地下牢に投獄されてしまい、あっという間に処刑が決まった。
最初の内は焦りなどはあまりなかった。戦線に出ていなかった控えの仲間たちがすぐに気付き、実際にウィンゲートがエドラス兵に変装して様子を見に来てくれていたのだ。脱獄までの手筈をなるはやで整えている、夜が明ける前には必ず助けに来る、だから諦めるな、とウィンゲートは言った。唯一の不安は団長であるヨルンが一人だけ別の牢に入れられてしまったことぐらいだった。とはいえやわな男ではないことは知っていたし、彼なら図太く寝ているだろうとさえ考えていたのであまり心配はしていなかった。
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