天に日を、傍らに灯火を。 世界に勇者がいるとしたら多分こいつがそうなんだろうなと。サザントスという存在を知った時、ヨルンは何となくそう思った。
宝石のような瞳、雪のような髪、大きな背、特別な法衣。そうあれかしと特別なめかしこみに身を包んだ男は、やっぱり特別な力を持っていた。青い炎、魔法だろうか? いつだか知り合いに話を振ったが彼女曰く炎は火力を増すと色が青く変わるのだという、魔法でもそれを振り回すのは難しいそうだ。なら彼の力が魔法であれ何であれ、結局あれは特別なのだ。
特別なものなど何も持っていない自分とは違う。当たり前だ。あれは規格外の存在だ、ディトレイナと似たようなものなんだろう。
生まれも、生き方も、望まれた在り方も。価値観や宗教観でさえ何一つ異なる。話だって嚙み合わないのは当然だ。基盤にしている大地の色さえ違うのだ、だったら何を重ねたところで別の結果になる。
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