他人の子は知らぬ間に大人になるもの 経過観察が必要ですから。朝倉省吾とその父に言われてドクターTETSUが和久井譲介が一緒に住み始めてしばらくが経つ。寛解したもののこれまで散々無茶をしてきた身であるから主治医が近くにいた方が良い……などと無理のある説得が老獪な闇医者に効いたのは朝倉先生親子のおかげであると譲介は理解している。寛解した途端どこかへ行こうとする彼の手首をひっつかみ、このままロスに留まってできればこの部屋で暮らしてくれと、最後は胸ぐらを掴む勢いだった譲介には頑として頷かなかったのに。
TETSUによる大いなる譲歩があったとしても、そこから始まった新しい関係が今ではキスどころかセックスまで許されるようになったのは譲介にとって奇跡に近い。
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