六月蜜月 ようやく息が落ち着いてきた。情事の後、香太郎のそばでまどろんでいるこの時間が麻子は好きだった。麻子はうつ伏せの半身を起こすと香太郎の顔を覗き込んで聞いた。
「今日、何の日か覚えてる?」
小首をかしげる仕草に目を細めると香太郎は麻子を引き寄せそのまま身体ごと自分の胸の上に乗せた。お互い汗でしっとりしている。交わった後の麻子のにおいや密着する胸の感触にニヤつきながら香太郎が答えた。
「麻子さんと初めてした日」
「正解です」
「ご褒美は?」
ちゅっと音を立てて軽いキスをする。香太郎が両手でペタリと麻子の尻の丸みを抱え込んだ。
「麻子さんのお尻はひんやりしてて気持ちいいなあ」
「えっち」
子どもを作ろうと避妊をやめて以降、睦あう回数が増えて、出会った頃のようにちょっとしたきっかけで求めあってしまう。薄いラテックス一枚を外しただけでここまで悦びが増すとは思いもせず、新婚旅行には行かなかったが、自宅でとろとろと溶けあって滴るような蜜月をすごす事に二人とも満足していた。
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