無題無題
ピンク、赤、チョコレートを模した茶色。
この時期は、街のコンビニでさえバレンタインムード一色だ。
弁当を買いに行ったそのコンビニで、ふとその華々しい色が目についた。ただそれだけの。
何種類もの味の小さなチョコが収められ、パックになった大きめの袋のそのチョコを、銭形でさえ気付けば買っていたのだ。
職場の茶請けくらいにはなるだろう。
そんな軽い気持ちで、それらは警視庁捜査二課の、キャンディボックスに詰め込まれた。
「まったくお前は……」
取調室の、もはや馴染みとなった景色。
スチール製のデスクを挟み、向かい合わせに座るのは、ルパンと銭形の二人だった。
本来ならばここにもう一人、記録係が部屋の隅にいる筈なのだが、何をするかわからないルパン用に、特別に席を外してもらい、その仕事までも銭形が請け負うのが、捜査二課の――もとより警視庁の常識となっている。
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