終戦後フェヒュ(+エデレス)それはそれは、甘く濃密な夜だった。
幼子の飲む薬湯に垂らされる蜂蜜のようにたっぷりと、帝都アンヴァルの伝統菓子よりもさらに甘く、それでいて情熱的な。
夜が更けても終わらぬ伴侶の営み、永遠を感じながら微睡めば朝。
フェルディナントは瞼の裏に明るい光を感じて、目を覚ました。
「おはようございます、フェルディナント殿」
カーテンの裾を持ち上げるヒュ―ベルトが、窓から差し込む朝日を浴びて煌めいている。
既に彼は白いシャツと黒いベストを身に着けており、その白が光を反射するのでいっとう眩しく、フェルディナントは思わず寝ぼけまなこを擦った。
「おはよう、今朝も早いな、ヒュ―ベルト」
「おかげさまでぐっすりでしたから」
幸せそうに微笑むヒュ―ベルトを見て、フェルディナントもまた優しく微笑む。
3767