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    minamikyo

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    minamikyo

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    デヨヨのけーぶほを🍑姫にしようと思ったらプロットの段階で下調べ不足だったのが書き始めて発覚してやめっちゃったやつ

    アンダーソン警部補誘拐事件 ハンク・アンダーソンの捜索が始まったのは彼が不在となって三日後のことだった。
     遅すぎるとも言える捜索はもちろん、目撃情報が極端に少ないため捜索は困難と言って相違なかった。
    「おいクソプラ、オモチャの癖に貧乏ゆすりしてんじゃねえよ」
     トントンと規則的に机で音を立ててるのはギャビンだ。確かにコナーのLEDリングは忙しなく光っているがそれはアンドロイドが通信中である証だ。コナーが懸命にハンクを捜索している証左であり、コーヒーを飲みながらのんびりと呆けているギャビンにはいう資格はない。
    「おい聞いてんのか」
     ノイズキャンセルを設定して再度ネットワークの海に飛び込む。ネットニュース、SNS、デトロイト市内のパブリックドローンの映像。何を見てもハンクの情報は得られない。コナーは焦燥から舌打ちをした。
     
     三日前、書類を提出したコナーとハンクは一緒に署を出た。次の日が休みということもあり、一緒にバーに行こうと誘われた。ハンクの機嫌はいつになく良好でよっぽど先の事件の解決が嬉しいのだと窺えた。
     今回の事件はそれだけ面倒だった。アンドロイドでさえそう感じたのだ。ハンクとコナーが現場にいる時に目撃情報が署に寄せられたり、裁判所に申請した逮捕状がスペルミスして伝わっていたりと小さなすれ違いがストレスとして蓄積された。
     穏やかな表情で車のキーを指先で弄ぶハンクに帰りの運転は自分がするからと言いながら助手席に座る。フロントガラスの前でふらふらと踊る人形をつついて、キーをイグニッションに回すのを見つめていると「ガキの頃これがしたくてたまらなかったんだ」と静かな声が言ったのを思い出す。イグニッションキーを入れることが何か良いことなのかと検索してみても何も出てこない。もっとプライベートな『良いこと』なのかもしれなかったが、その時コナーはそれを聞くことができなかった。外からクリスが窓をノックしたからだ。
    「すみません、警部補。ひとつだけ確認しておきたくて」
    「なんか間違いでもあったか?」
    「いえ、そうではないんですが……」
     開いたサイドウィンドウの隙間からクリスが書類を覗かせる。クリスがハンクから引き継いだ事件の調書だ。
    「ああ、それはーー」
     初動捜査の調書について淀みなく答えるハンクの横顔を備に記録しながら、後の予定を計画立てる。一般的な帰宅時間より早いこの時間帯は渋滞も少ない。比較的近所のバーをいくつかピックアップする。渋滞の時間帯になる前にバーに入ればきっとゆっくりとした時間を過ごせるだろう。
    「待たせたな」
    「いいえハンク、問題ありません」
     シフトレバーに置かれた手を端目にシートベルトを締める。
     ハンクにはシフトレバーを操作する際小指を丸める癖がある。それを今日も記録しながらコナーは口を開いた。 
    「行きたい店は決まっているんですか?」
    「ああ、ここから近い場所だ。帰りの運転頼めるか」
    「ええもちろん」
     すぐに検索データを抹消し近隣マップを引っ張り出す。署からハンクの家まではそれほど時間がかからない。コークタウンに向かっているのを確認したコナーは帰路の安全なルートの検証をして道中を過ごした。
     機嫌の良いハンクに適度な飲酒と食事を勧め、自分は最近市場に下ろされ始めたブルーブラッドの飲料を飲む。テスト時にもコナーは飲んだことがあったが、人間でいうところのフレーバー情報が追加されている。
    「うまいのか、それ」
    「ええ、人間で言うところのりんごジュースの味がします」
     情報を味として伝えるとハンクは殊更嬉しそうに笑った。
    「生まれてちょっとの子供にゃぴったりの味だな」
     
     
    「おい! 何度言やわかんだこのスクラップ!」
     ドン、と頭部に衝撃が走る。損傷はない。損傷はないが検索は中断されたので、ちょっとした仕返しくらいは許されるだろう。叩いた後で無防備な左手首を掴み捻り上げながら背後に回る。 
    「何するんですか、リード刑事」
    「な、にするんですか、じゃねーんだよ! 離せ! そんでそのチカチカやめろ!」





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    米の逮捕に逮捕状は要らなくてまず捕まえてから精査するらしいので没になった話です。
    これがのちのギミックというか話の中心なので泣く泣く没にしました。
    ついでにのちのワンシーンも入れておきます。
    アンドロイドっぽく書くの楽しいです。

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     静寂だ。環境音量は平均二十dBを下回っている。
     扉を隔てて向こうは下卑た笑い声と賑やかな物音に包まれているというのに、厚さ一.六インチの鉄の扉を挟んだこちらは一切の物音がしなかった。陽は沈みきって暗いが室内に突入することを考えて暗視モードにはしていない。少し前にハンクが月明かりだけでも十分に明るいと言っていたのを思い出した。
     視線をあげる。丁度、こちらを振り向いたハンクと視線がかち合う。予定通りの時間だ。
    「約束と違う! モノは全部持ってくるはずだっただろう」
     語気を荒げ叫ぶ声をきっかけに立ち上がり突入する。
     肩で扉を押し開き、倉庫内をスキャンする。室内の人数は七人。手近な人間から無力化していき、証拠品を確保する。
     一番遠くにいた男が銃を構える。照準はこちらを向いていた。予測損傷箇所は左腹部。ブルーブラッドの減少はおよそ三十ml。行動に問題ない範囲だ。予定を変更せずに男に向かって直進する。銃声はしかし、前方からではなく後方から発生した。ーーハンクだ。
     遅れて発砲された弾はコナーの足元で跳弾し、近くの木箱にめり込む。
     右足で踏み込み、男に肉薄する。銃を叩き落とし、伸びた腕を肩に担いで腰を捻る。左足を軸にして腕を引けば頭上で「ぐ、」と喉が詰まったような声がして静かになった。
     立ち上がって見ると男は意識を失っていた。ふむ、とコナーは手を払いながら先ほどの動作をフィードバックする。意識を失った男の状態を確認ーー意識こそ失っているが骨や内臓に損傷はない。動作自体はなんて事はない、「柔道」と呼ばれる格闘技の技のひとつだ。最近ハンクがハマっている日本の刑事ドラマで見たものをコピーした程度の模倣だが思いのほか有用そうだ。
     本格的に技術をダウンロードすることを検討項目に加え、気を失っている男を拘束する。
    「コナー」
     ハンクの声に振り向く。銃を懐に仕舞いながら歩み寄ってくるハンクはリラックスした表情をしていた。
    「うまくいったな」
    「はい。流石、ハンクの策です」
     歩み寄ったコナーに向かってハンクが手をあげる。その手を軽く叩くとハンクが破顔することを知っているコナーは
    「最新鋭のアンドロイドってのはボケるのか? お前が考えた作戦だろうが」



     
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