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    sangurai3

    かなり前に成人済。ダイ大熱突然再燃。ポップが好き。
    CPもの、健全、明暗、軽重、何でもありのためご注意ください。
    妄想メモ投げ捨てアカウントのつもりが割と完成品が増えてきました。

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    sangurai3

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    ダイ大二次創作 原作完結後 ある日のネイル村
    旅をしているポプマムメル一行が登場しますが、目指したところは「チウ無双」
    のんびりほのぼの、になっていれば嬉しいな

    勇者の意思を継ぐ者達よ「よくぞここまで来たな勇者一行よ!しかしお前たちにこの大魔王が倒せるものか!」
    「なにい!?この必殺技を受けてみろ!」
    「この魔法もだ!」
    「ひっさつきっくもあるぞ!」
    「おお!!すごいすごい、やれるものならやってみろ!!」

    「何だい、ありゃ?」
    勇者の捜索と復興の手助けを兼ねた旅の途中、ポップ達は久しぶりにマァムの生まれ故郷ネイル村に立ち寄った。
    レイラを始めとする村人達から厚い歓迎を受け、午後からは魔の森の様子でも見てこようかと昼食を済ませて外に出てみれば小柄な集団が村の広場でなにやら大騒ぎしている。
    「チウさん達が遊んでくれているのよ」
    集団は村の子ども達とチウ率いる獣王遊撃隊とで左右に分かれ、やあやあと拳を振り上げたり棒きれで相手を切りつける真似をしたりしている。
    どうやら『勇者のパーティーVS大魔王軍』ごっこの真っ最中のようだ。

    「くらえ!必殺!あばーんすとらーっしゅ!!」
    「ぐわああああ!や~ら~れ~た~!!」
    「やった~勇者の大勝利だ~!!」
    チウ達『大魔王軍』は大げさに天を仰いでその場に倒れこみ、子ども達は歓喜の声をあげて跳ね回る。
    ごっこはやはりセオリー通り勇者の一太刀で大魔王を倒して終了らしい。
    が。
    「もう1回もう1回!」
    「つぎはぼくがゆうしゃさまやるう!」
    「じゃああたしは戦士!」
    「チウちゃん立って!もう1回だよ!」
    「えっまた・・・?・・・ようし、もう1回だー!この大魔王チウさまを倒してみろー!!」

    「子どもって何っ回でも同じ遊びやりたがるよな」
    自身の幼い頃を思い出してポップは苦笑した。たまに父親に遊んでもらったときは彼等のように「もう1回」を繰り返し、ついには「うるせえ!!もう仕舞いだ!!」と怒鳴られたものだ。
    遊撃隊員の疲労ぶりからみるに朝からずっと疲れ知らずの子ども達に付き合わされているのだろう。
    「アバンストラッシュは母さんが教えたの?」
    マァムもまた同様に戦士ごっこに明け暮れた記憶がある。チウに同情の視線を送りつつ師の必殺技の出どころを母に問う。
    「いいえ、あれはお城の護衛から帰ってきた人達が教えたのよ。ダイ君やあなた達の戦いぶりは子ども達お気に入りのお話だから」
    かつてダイとポップがこの村を訪れたとき、男達は皆ロモス王都の護りに駆り出されていた。
    世界に平和が訪れようやく帰ってきた故郷の村で、勇者一行の戦いがいかに凄まじく勇敢なものだったか毎日のように子どもらにせがまれ話しているらしい。
    「お子さん達、チウさん達ととても仲がいいんですね」
    戦いごっこになど縁のないメルルだが、人間と怪物(モンスター)が仲良く遊んでいる姿を微笑ましく眺める。
    実際こうやって種族の垣根を越え交流することは彼等獣王遊撃隊の大きな役割になっているのだ。
    屈託なく隊員に飛びついたり抱きかかえたりしている子ども達にとって、心優しいモンスター達はその見た目に関係無く等しく「友達」なのだろう。


    ポップ達が見ている間にも「もう1回」が三度ほど繰り返され、四度目の「もう1回」にとうとうチウが抗議の声をあげた。
    「ちょっ・・・と待った!」
    よく子供らの相手をしてくれて助かっていたのだがさすがにもうそろそろ限界か、と親達が遊び時間の終わりを宣言するため近づいていく。
    「ずるいぞ!」
    しかし、びしっ!と子供らを指さしてチウが叫んだ言葉は予想外のものだった。
    「ぼくはまだ1回も勇者役をやってない!」

    「え?」
    その場にいた者達全員が同じ表情になって同じ音を口から出した。

    「君たちばかり勇者をやるなんて不公平じゃないか!今度はぼくら獣王遊撃隊が勇者パーティーになるのだ!」
    「ええー・・・」
    思ってもみなかった言葉に周囲が呆然とする中、子どもの1人が呟いた。
    「チウ隊長が勇者って・・・モンスターの勇者なんて聞いたこと無いよ」
    何気ない言葉だったがポップ達はハッとする。思わずその子に声をかけようとするが、チウの高らかな笑い声に遮られた。
    「なっはっはっはっは。まだまだ君たちは分かっていないなあ」
    腰に手を当てふんぞり返ってのたまうチウにどういうこと?とまた別の子どもが問うた。
    「いいかね諸君。勇者になれるかどうかに種族も何も関係無いのだ。正義を貫き愛と勇気を胸に悪と闘う!その純粋な心を持っていれば誰だって勇者なのだよ!」
    子ども達だけでなく周囲の大人やポップ達もチウの言葉に目を丸くした。

    「おおねずみでも?」
    「おおねずみでも!」
    「スライムでも勇者になれるの?」
    「当然だ!正義の心さえあればな!」
    「女の子でも?」
    「もちろん女の子だって勇者になれるぞ」
    「・・・でもたたかえなきゃいけないんでしょ」
    少し離れた場所で友達の遊びを見ていた少年が寂しそうに言う。生まれつき体の弱い彼は激しく動くことを親から禁じられているのだという。
    「ちゃんと聞いていたかね?正義の心があれば誰だって勇者なのだ!君はそこでずっと勇者パーティーの応援をしていたね?その声が出せるなら君だって勇者なのだよ!」
    びしっと親指を立てて微笑むチウに、少年は喜びに満ちた表情で「うん!」と力強く頷いた。彼の両親はその様子にそっと涙を拭う。

    チウの話を聞くうちに、子ども達の表情は遊んでいるときよりも明るく輝いてきた。
    村長も勇者?もちろんだ!うちの父さんも?お城の守りに行っていたそうだな?素晴らしい勇者だ!おかあさんは?あんな優しい女性が勇者でないはずが無いだろう!
    村中の誰も彼もを指しては勇者だ勇者だとバンザイを始めた子ども達の様子に、ポップ達の顔の強張りは自然に溶けた。
    「チウさんは紛う事なき勇者ですね。決戦の場でも誰より勇敢に戦っていたそうですから」
    メルルが眩しそうに子ども達を見つめて言う。
    「それを言うならメルルだって勇者だわ。私達の危機を何度も救ってくれたじゃない」
    「そうさ、世界を壊さずに済んだのもメルルがいてくれたからだ。最初に会ったときからおれより何倍も勇敢だったじゃねぇか」
    マァムとポップにそう賞賛され、占い師の少女は頬を赤らめる。
    「ポップさんとマァムさんも」
    「ああ、おれらの仲間みんな」
    「そうね、あのとき心を一つにしてくれた世界中の人達、モンスターも魔族も関係無く、地上の平和を願った者全てが勇者なんだわ」
    3人は空を見上げた。いまだ見つからない年下の少年と、あの日空を金色に染めて去って行った可愛らしい友人の姿を思い浮かべる。
    お前たちの願った平和な世界はこんな風に少しずつ実現していってるよ。だから早くここへ帰っておいで。
    心の中で3人は彼等の大切な『勇者たち』に呼びかけた。

    「さて諸君!ご理解いただけたところでこれより勇者ごっこを再開する!」
    高らかな宣言にわあっと子ども達と遊撃隊員が歓声を上げる。勇者様ーと持ち上げられチウはご満悦だ。
    「じゃあ、大魔王は誰がやる?」
    1人の言葉に皆互いの様子を探った。すると先ほどの-戦いごっこには参加せず声援を送っていた-少年がおずおずと手を挙げる。
    「あの、あんまり動かなくていいなら・・・ぼく大魔王やってもいい?」
    だったらおれ大魔王の部下になろっかなー横で守ってやるぜ!と最後に勇者役を務めていた少年がにかっと笑う。ぼくもわたしもとどんどん手が挙がってくる。
    今度は勇者パーティーより大魔王軍の方が優勢になりそうだ。
    「うんうん、その優しい気持ち、素晴らしいぞ。だがしかぁし!真の大魔王は他にいる!」
    「「「な、なんだってー!!」」」
    ごっこにハマった子ども達はすっかりノリノリである。
    「真の大魔王・・・それは・・・あいつだ!!」
    びしぃっ!とチウが指さすその先には緑色の法衣を纏った魔法使い、もとい大魔道士が1人。
    「奴こそ邪悪なる真の大魔王、ポップだ!!声援をくれていた彼はくまちゃ、君が担ぎたまえ!さあ、皆の者かかれ~~~~!!!!」
    「「「「おお~~~~~!!!!」」」」

    「何じゃそりゃ~~!!!」
    大挙して突進してくる集団に、ポップは思わず逃げ回る。
    「卑怯で臆病な大魔王め!大人しく窮鼠文文拳に撃たれて露と消えろ!」
    「きえろ~~!!」
    「大岩砕く技を本気で当てようとするんじゃねぇええええ!!!」
    背後から襲い来る勇者パーティーにツッコミながらポップは飛んできたチウの体を受け止め、遊撃隊の中に投げ返す。
    「ポップお兄ちゃんダメだよ!大魔王は勇者様に倒されなきゃいけないの!」
    ミーナに怒られて「理不尽だ!」と叫び、哀れな大魔王ポップは二度目の文文拳を素直に受けて地面に沈んだ。

    突如(そして無理矢理)始まった『勇者チウとその仲間達VS真・大魔王ポップ』の戦いは、何度大魔王が倒されても子ども達に「もう1回」とせがまれ続け幾度となく繰り返された。
    そして日が傾くまで村中を走り回ってお腹がぺこぺこになった勇者一行と大魔王は、レイラ・マァム・メルルの合同必殺技『ほっぺが落ちちゃう焼きたてベリーケーキ』によって無事全員完敗するのだった。
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