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    sangurai3

    かなり前に成人済。ダイ大熱突然再燃。ポップが好き。
    CPもの、健全、明暗、軽重、何でもありのためご注意ください。
    妄想メモ投げ捨てアカウントのつもりが割と完成品が増えてきました。

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    POIPOI 64

    sangurai3

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    ダイ大二次創作 原作完結後想定 ポップとレオナ
    魔法と一部呪文についての独自解釈あり。軽い話です。この2人の組み合わせがとても好き。

    羽ばたきのレッスンこの背に翼が生えたなら どこへだって行けるのに
    どこかにいるあなたの元へも きっと会いに行けるのに
    ねえ誰か わたしに翼を授けてください 
    どこへでも飛んでいける 自由な翼を

    「ねえポップ君」
    「ダメ」
    「ポップ君」
    「無理」
    「ポップくうぅん」
    「だああっ!ダメだっつってんだろが!姫さんには絶っっ対ルーラを教えんなって厳命されてんだよおれは!」
    茶器の乗ったテーブルにどんと手をつきポップはがなる。振動で白磁の器がカチャカチャと揺れるのを見てレオナは眉をしかめた。
    「だからそれ何でなのよぅ。君主のお願いより優先される命令なんてあるワケ?おかしいでしょうよ」
    間近で凄まれても臆することなく、むしろ文句をつけてくるレオナ。大魔王の前でさえ矜持を失わなかった王女がポップごときに怯むはずも無い。
    しかしポップもまた大魔王に最後まで食い下がった人間である。レオナの睨みになど何の恐怖も覚えない(本日の話題については、とりあえず)
    「何で禁止されてるのか、本当に分かんねえのか?自分の胸に手を当ててよっく考えてみろよ」
    指を突きつけられレオナはうっとたじろぐ。にや~っとポップが意地悪く笑みを浮かべる。
    幼い頃よりお守りの目を盗んでは脱走すること数えきれず。目的を果たすために家臣に催眠呪文を使うことさえ厭わない姫君には後ろ暗いところがありすぎた。

    「おおかた、またベンガーナのデパートにでも行きたいんだろ」
    「うぐっ」 
    「もしくは新しくできたっつーカジノか」
    「うぐぐっ」
    「こないだ視察行ったんだっけ?面白えとは聞くが一国の姫様が入り浸るのはどうかと思うぜ。第一、姫さんに賭け事は向いてねえと思うがなあ。強い役ばっかり狙うかと思えば使えねえカード変に惜しむし。負けが込めば込むほどムキになるし」
    いつだか誘われて一緒に遊んだカードゲームの顛末を思い出してポップは言う。その言葉を受け、レオナはうううと呻いてテーブルに突っ伏した。
    「それ、ベンガーナ王にも言われたわ…」
    「ありゃ」
    「『勝負事は政(まつりごと)だけにしておくのが宜しかろう』って。あーん、そんなの全然楽しくないじゃないのー!!」
    しかめ面の大臣じゃなくて渋いディーラーや可愛いバニーのお姉さん相手に勝負したいのよ-!と叫ぶレオナに、ああ、お試しのつもりで大負けしてきたんだな…と察してポップは同席していたのであろうベンガーナ王に同情した。
    まさか大戦中あれほど冷静かつ勇敢だった姫にこんなポンコツな面があったなんて思いもよらなかっただろう。

    「…でもね、あたしは別にルーラで脱走したいからお願いしてるわけじゃないのよ」
    いじいじと人差し指でテーブルにのの字を書きながらレオナがぼやく。
    「あの大戦で自分の実力不足を実感して…別に戦いたいわけでもないのよ?でももっと色んな呪文が使えてさえいたら、もっと役に立てたんじゃないかって思って…
    それに一応正式に『卵』が取れて賢者と呼ばれるようになったのに、三賢者達にできてあたしに使えない呪文があるなんて悔しいんですもの」
    言い訳のように聞こえるかもしれないが、これはレオナの本心だ。戦力にならないことは承知であったとはいえ、大魔宮で仲間の手助けがあまりにできなかったことをレオナはずっと悔いていた。
    賢者の力に目覚め並の魔法使いの数倍の魔法力を持つポップに並ぶのはさすがに無理だとしても、いざというときに使える手はいくつでも持っておきたい。
    ダイ捜索の旅を続ける仲間達とは違い、レオナは統治者として国に留まり続けなければならない存在である。
    彼等を全力でサポートし、この場で勇者の帰還を待つ。それが自分の役目だと自覚している。
    だが旅の間でパプニカに立ち寄ってくれる者達が新たな技や呪文あるいは知識を習得しているのを見るたびに、自分だけがあの日のままで止まってしまったような感覚に陥ることがあるのも事実だった。
    「しょうがねえなあ」
    沈むレオナの顔を見てポップは笑った。何だかんだでこの男は人に甘い。しかも相手が戦友であり果て無き旅の最大の協力者であり可愛い妹弟子であるなら尚更だ。
    「ルーラは教えられねえけどさ、姫さん」
    カップに残った花茶をぐっと飲み干し、席を立ちながらポップは言う。
    「王女様だからって閉じこもりっぱなし座りっぱなしは身体に良くはねえよな。室内(ここ)でできる『軽い運動』のやり方なら教えてやってもいいぜ」
    意味深な笑顔を向けるポップに、レオナは良く分からないまま頷いた。

    「じゃ、そこに立って」
    言われるままテーブルの前に立つ。ポップはレオナから数歩離れて立ち止まった。
    「ここまでジャンプできるかい?」
    このくらいなら、とレオナはぴょんと片足で跳ねてポップの側に行く。戻って、と言われてまたテーブルまで戻る。ポップは更に二歩歩後ろに下がった。
    「これくらいも行けるか?」
    先ほどより少し足に力を入れる。それでも苦も無く跳ぶことができた。指示されてまた戻る。ポップがまた二歩離れる。今度は両足でしっかり踏み切ってぎりぎりだった。
    「じゃあ次」ポップは離れた距離はそのままに少しだけ体をレオナから見て右に移動させた。
    「さっきのトコまで目つぶって跳んでみて」
    「目をつぶって?」
    視力に頼らず体を動かすことに慣れていないレオナは少し戸惑う。ポップが立っているのは目を開けていてもぎりぎり届いたほどの場所だ。だが
    「大丈夫だよ。転ばねえよう見とくから。」
    そうポップに言われ覚悟を決めた。
    「着地したときの床の模様を覚えてるだろ?」閉ざされた視界の先、ポップの声だけが穏やかに聞こえてくる。
    「頭の中で部屋の景色を思い浮かべて、さっきどのくらい力を入れたか思い出して。…跳んで」
    レオナは思い切り両足に力を入れて跳んだ。右横から「おお」という感嘆の声が聞こえる。目を開けるとすぐ側にポップの笑顔があった。
    「やるなあ姫さん、どんぴしゃ」
    足下を見れば先ほど目を開けて跳んだときとほぼ変わらぬ場所。えっへんと胸を張ると、ぽんぽんと頭を優しく撫でられた。突然の年下扱いは少しくすぐったい。
    「まあまあ面白いけど、これにどんな意味があるの?」
    そう問うと「分かんねえかい?」と1歳年上の兄弟子が微笑んでくる。
    「じゃあ、もう1回行こうか。最初の位置に戻って、目をつぶって。…さて、瞑想の仕方は分かるよな?姫さん」
    また突然の言葉に一度閉じた目を見開く。
    「瞑想?そりゃもちろん知ってるけど、何で今?」
    ポップは穏やかに笑んだまま再び「分かんねえかい?」と訊いてきた。
    これは自分で答えを見つけるしかなさそうだと悟り、レオナはまた目を閉じた。

    瞑想。内なる魔法力を高めるための修行のひとつ。
    攻撃魔法でも回復魔法でもない純粋な魔法力を自分の中に感じて、高めていく。幼い頃に教わったとおりにレオナは集中する。
    身体の中心が温かくなる。胸の奥からあふれ出てくるものを全身に循環させる。あらゆる感覚が遮断され、あるいは研ぎ澄まされ、何ともいえない浮遊感に包まれる。
    (あ、)
    レオナは体内を巡る魔法力を呪文の形にしないまま強く表に出した。内なる力をその身に纏わせ、放出する。
    無の一歩手前まで凪いだ頭の中に部屋の景色を改めて思い浮かべる。白いテーブル、壁際の調度品、海を望むベランダ、美しい幾何学模様のタイルで彩られた床。
    実際に視線を送るように部屋の隅々まで脳内で思い浮かべ、最後に先ほどの跳躍で着地した場所をレオナはしっかりと『見た』。全身を包む魔法力が更に強くなる。
    「さっき跳んだ感覚を思い出して」静かな声がレオナに届く。
    「『力』は強すぎても弱すぎてもダメだ。このくらいならちょうどいいってところを見つける」
    ポップの助言を受け、魔法力の放出量を調整する。強すぎず、弱すぎず、頭の中で見定めた場所にたどり着くのに最適な強さ。白い額に汗が浮かぶ。
    苦心しながらもおそらくこのくらいだと見当をつけたとき。
    「…いいぜ、飛んで」
    その声を合図に、レオナは『飛んだ』。両足には少しの力も入れず、ふわりと。華奢な身体は宙に浮き、しばし空中を浮遊した後、床に降りた。足裏に感じる硬い感覚にほっと魔法力を分散させる。

    「さっすが。いいセンスしてるな」
    目を閉じたまま『跳んだ』ときと同じくらいの位置から声が聞こえてくる。
    目を開けると隣でポップが笑っていた。
    「ポップ君」
    はあっと息をつき、兄弟子を見上げる。そう言えば彼ずいぶん背が伸びたわね、と唐突に思った。
    「『軽い室内運動』のレッスン。気に入ったかい?」
    そう言って茶目っ気たっぷりにウィンクするポップに、「ええ、とっても」とレオナは満面の笑みを返した。

    「この『運動』とっても楽しいけど」そこまで言ってレオナはまた深く息をつく。「結構疲れるのね。頭がふわふわしちゃうわ」
    「そりゃあ初めてならそんなもんじゃねえか?」ポップは明るく答える。
    「大事なのはイメージと力の調整だからな。見た目以上に頭使うんだよ。おれなんて最初は思った位置に『とべない』どころかしょっちゅう地面に頭突きしてたもんさ」
    そうなんだ、と相づちを打つと「だからこの『運動』はいきなり遠く目指しちゃダメだぜ?怪我はホイミで治せても服が汚れたり破れたりしちゃ困るだろ?」と返ってきた。
    「分かったわ。しばらくは室内で練習してみる。これなら寝室でもできそうだしね」
    「そうしてくんな。アポロさん達にバレて説教されるのは勘弁したいしよ」
    にやっと悪い笑みを浮かべるポップに「『運動』の仕方教わっただけだから怒られはしないわよ」とレオナも悪い笑みを返す。
    「ねえ、この『とぶ』運動ね。練習して、もっともっと上達したら」
    そこで切って、レオナはポップの顔を見上げる。
    「行きたいところがあるの。とっても大切な思い出の場所。あたしの…あたし達の冒険の始まりの場所」
    そりゃなかなか長距離だな、とポップは笑う。
    「いいぜ、時々こんな風にレッスンに付き合ってやるよ。そんでもう大丈夫だろっておれが認められるとこまで行けたら」ポップはレオナの瞳を見つめる。
    「一緒に『とぼう』ぜ。万一の時はちゃあんと拾ってやっからよ」
    「そんな間抜けなことにならないよう努力するわ…約束よ」
    2人はこつんと拳をぶつけ合った。
    既に心だけは2人の大切な勇者が育った南の島へと飛んでいた。

    これからひと月ののち、ベンガーナ王国のデパートやカジノ付近に高級なドレスを纏った美少女が突如現れたという噂が頻発することとなるのは、また別のお話。

    (ホンットにあの姫さんだけは!!)
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