Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    sangurai3

    かなり前に成人済。ダイ大熱突然再燃。ポップが好き。
    CPもの、健全、明暗、軽重、何でもありのためご注意ください。
    妄想メモ投げ捨てアカウントのつもりが割と完成品が増えてきました。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 64

    sangurai3

    ☆quiet follow

    謎時空で使徒達5人がお茶しながら話してるだけ。

    終わらないお茶会 午後のお茶の時間。ケーキスタンドに並べられた色とりどりのジャムタルトを見て、ポップは眉をしかめた。
    「まさかと思うが姫さんが作ったわけじゃねえよな?」
    「違うけど、その反応は失礼すぎない?」
     上品に紅茶を飲みながら、レオナはポップを睨みつける。
    「お望みなら鞭も用意させましょうか? ダイ君にビシバシ打ってもらう?」
    「おれジャックじゃねえし。立場的にはアポロさんだろ」
    「馬鹿ねえ。アポロが盗みなんてするはずないじゃない」
    「おれだってしねえよ!」
     言い合う二人をしばらくぽかんと眺めていたダイが隣に座るマァムに問う。
    「ねえ、おれ二人の言ってること全然わかんないんだけど。なんでポップはレオナがタルトを作ったのかって訊いたの? 盗むってどういうこと?」
     専属の調理人がいる城で王女のレオナが料理をすることなど万に一つもありえないというのに。更には己がポップを鞭打つとはどういうことなのか。
    「そういう詩があるのよ」
     マァムがダイに二人のやり取りを説明する。
    「夏の暑い日に女王がタルトを作って、それをジャックが盗んで……あれ? 鞭? 首を刎ねるんじゃなかったかしら?」
    「別の童話が混ざっちゃってるわよ、マァム」
     首を傾げるマァムに、レオナが苦笑してフォローを入れた。ベリージャムのタルトをひと口かじり、古くから伝わる詩を諳んじてみせる。
    「そうね、ダイ君は知らないわよね。図書館に詩集があるから良かったら読んでみる?」
     微笑みと共に向けられた提案に「うん、あの、ええと」とダイは困り顔で言葉を濁す。
    「大丈夫よ。短いものばかりだし言葉も簡単だからダイ君でも読めると思うわ」
    「いやそうじゃなくて……あのさ、『し』って何?」
     発せられた問いに周りにいた者達は一様に目を丸くし、その後ううんと悩み始めた。
    「そっかあ、そもそも詩を知らねえかあ……まあそうだよなあ……」
    「どう説明したらいいのかしら。短い物語……? は違うわね……歌の文句、もちょっとおかしい?」
    「韻を踏んでいるものがほとんどだからおかしくはないわよ。けど、節が付いているものだけでもないしね……ダイ君にも分かるように説明するとしたら……うーん、辞典を用意しましょうか」
     頭を付き合わせてうんうんと唸る仲間達の姿に、何か悪いことを言ってしまったかとダイはおろおろし始める。
    「ど、どうしようヒュンケル」
     無言で話を聞いていた長兄に助けを求めると、こちらも困ったように眉を下げる。ヒュンケルも知識として何編かの詩を記憶しているが、『詩とは何ぞや』ということをダイに理解できるよう説明するのは難しいと感じていた。
    「とりあえず、姫の言うように一度詩集を読んでみたらどうだ。そうすれば詩と他の文章との違いが分かるのではないか?」
    「あ、そうね! ごちゃごちゃ説明するよりその方がきっと分かりやすいわね!」
     ヒュンケルの言葉にレオナも笑顔で賛同する。マァムも、渋々といった表情ながらもポップもそれがいいだろうと応え、何故かダイが詩集を読むことが決定してしまった。
    「いいんだけどさあ……」
     勉強は不得手だが、その重要さは一応ダイも理解している。ポップやレオナにとっては何気ないやり取りだったのだろうが、お茶の時間のちょっとした会話の中にさえ今までに学んできたこと、得てきた知識が活きるのだ。苦手だと目を背けてばかりもいられないだろう。
    「そんな難しい顔しないでよ、ダイ君。お勉強だと思わずに、かるーい気持ちで読んでみればいいの。挿絵の入った読みやすいもの用意するから」
     レオナの言葉にうんと頷き、ダイはレモンジャムのタルトを手にした。読み書きの苦手な自分が軽い気持ちで本を読めるのか怪しいところだが、まず今はお茶の時間を楽しもうとさくさくとした生地を頬張りながら考える。
    「そうだ。もうひとつ訊いてもいい?」
     菓子を腹に収めて口を開くと、今度は何だと兄弟弟子達がダイの顔を覗き込んでくる。
    「えっとね。さっき言ってたジャックって誰?」
    「え」
     再び皆が目を見開く。
    「ジャックってのは、あれだ。トランプの絵札のさ」
    「トランプって何だっけ」
    「ほら、ロモスの宿でニセ勇者達がゲームやってたでしょ? あのカードのことよ」
    「そのジャックが何でアポロさんなの?」
    「え、ええっとねえ……」
    「あー! もう! 百科事典持ってきて 全巻」
     一つの疑問に答えれば次の質問が生まれる。生活の中にごく当たり前に存在している物や言葉の意味を次々に問われ、ポップ達は頭を抱えた。
    「おいこらヒュンケル! 涼しい顔してねえでお前も答えろよ! 一応兄弟子だろうが!」
    「あいにくオレもダイと同じく人里では長く過ごしていないのでな。賢者や魔法使いを差し置いて説明できるほどの知識は持ち合わせておらん。すまんな」
    「うわ! ちくしょうコイツさらっと逃げやがった!」
    「ちょっとレオナ、百科事典全巻本当に運ばれてきちゃったわよ これどうするの」
    「どうするもこうするも、訊かれたこと全部調べるのよ! はい、ダイ君! 他に分からないことある?」
    「……じてんって何?」
    「そこかーーー」
     分厚い書物をめくりながら三人がわいわいと騒ぐ。適当に開いたページを見て「あ、僧侶について書いてる」「どれどれ?」と脱線し始めたマァムとポップに向け「そこ! ちゃんと調べなさい!」とレオナがびしりと指を差す。
    「ねえ、ヒュンケル」
     賑やかな弟妹弟子達を眺めながら静かに茶を飲み続ける兄弟子に、ダイが話しかける。
    「何だ?」
    「おれねえ、ちょっとだけ勉強って楽しいのかもしれないなあって思い始めたよ」
     何だか、みんな大変そうだけど楽しそう。
     ああでもないこうでもないとダイの疑問に答えようとするポップ達を見てダイが笑う。そうだな、と微笑みを返し、ヒュンケルはお茶のお代わりをダイのカップに注いでやった。
    「皆もお前が色々尋ねてくれるのが嬉しいのだろう。お茶の時間が終わるまで、存分に質問したらいい」
    「うん。じゃあねえ、ジャムってどうやって作るのかな」
    「だ、そうだぞ」
     しれっと伝えるヒュンケルに、「てめえもちったあ調べろ!」とポップが事典を押しつける。
     延々続く質問と検索の繰り返しを見守りながら、周囲に控える者達は果たしていつお茶の時間の終了を告げれば良いのかと秘かに頭を悩ませていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺☺☺💕☺☺☺☺☺☺🙏💕🍑💕👍☺🙏👏👏💕💕💕☺🍵☺☺☺👏👏☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺😊☺☺☺👏👏❤🍑👏👏☺☺👍👍🙏🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator