黄暁黄昏の顔色を窺うようになったのは、いつからだろう。暁、と呼んでくれる声が平坦に堕ちたのは、いつから。
何度でも傍に行くのに、黄昏はいつだって一人で歩いて行こうとする。引き止める方法を自分は知らない。教えて欲しいのに、こういう時だけ黄昏は兄ぶって黙ってしまう。自分にも独占欲はあるし、弟として支えてみたりもしたいのに。
黄昏、と呼ぶ自分の声が怖くなったのはいつから? 花火杖に手を掛けることを躊躇うようになってしまったのは、いつ?
引き留める言葉を持たない自分は、常に死へと向かおうとする黄昏の手を掴むことしかできない。物理的に掴んで、引き留めて、引き寄せて、命火を分けるように鳴くしかできない。大きく鳴けば蝶が来る。マンタが来る。鳥が飛ぶ。
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