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    いしだ

    @ul_IDX

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    いしだ

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    昔神様に書いて頂いたもの。⚠︎微腐
    大好きなので一部置いておきます

    #陽の影浪
    shadowOfTheSun
    #石田の子
    ishidasChildren

    黄暁黄昏の顔色を窺うようになったのは、いつからだろう。暁、と呼んでくれる声が平坦に堕ちたのは、いつから。
    何度でも傍に行くのに、黄昏はいつだって一人で歩いて行こうとする。引き止める方法を自分は知らない。教えて欲しいのに、こういう時だけ黄昏は兄ぶって黙ってしまう。自分にも独占欲はあるし、弟として支えてみたりもしたいのに。
    黄昏、と呼ぶ自分の声が怖くなったのはいつから? 花火杖に手を掛けることを躊躇うようになってしまったのは、いつ?
    引き留める言葉を持たない自分は、常に死へと向かおうとする黄昏の手を掴むことしかできない。物理的に掴んで、引き留めて、引き寄せて、命火を分けるように鳴くしかできない。大きく鳴けば蝶が来る。マンタが来る。鳥が飛ぶ。
    「黄昏はそれじゃ救われないんだよ」
    「どうして? 自分を含め、黄昏はたくさんを、たくさんの心を救ってきたのに」
    「それが分からないうちはお前マジでクソってこと」
    「救ってきた事実は、救われる要因にはならないんだよ」
    救う側が救われないのはどうして? 友人たちは、それこそ自分で気付かないといけないのだ、と手がかりをくれない。
    苦しい。

    「プェ」
    「ポァ」
    「……ん、あ、ごめん」
    ここからどこに進むの、と雀たちが鳴く。地の試練、無窮の孤独。それをこうやって複数人で乗り越えるのは、自分的には一つの解法なのだけれど。
    友人は「一人で越えるからこそ孤独は孤独なんだよ」、ともっともらしいことを言っていたけれど、それってつまり社不なんだよなぁ。
    回り続ける石の道。回転する岩の一本道。
    「ここを抜ければ、終わりだよ」
    その声が鈍った、と思った。
    瞬間、世界が別たれる。……位相の違う、空間。形は同じだけれど、違う世界。
    「……黄昏?」
    直感的に、呼ばれた、と思った。黄昏が呼んだから自分は雀たちと別れた。雀たちには申し訳ないけれど、断わり一つもなく。自分的には構わないことなのだけれど、合図もなくいきなり。
    対岸で仮面をずらした、双子の姿。手を伸ばして、忘れていた足の下の空虚。
    墜ちる。あ、死んだ、と思う。

    ホワイトアウト、それからぐちゃぐちゃになる上下感覚。頭に何か硬いものが当たる。ぐわんぐわんする。自分に何が起こったのか分からない。
    痛みに軽く呻いて目を開ければ、瓜二つの顔が仮面越しに笑うのが見えた。口元、ほんの少しだけ見える弧を描いた唇。
    はく、と飲んだ息を重ねた唇。赤い、温かい体温に黄昏の目元は何も示さなかった。仮面に現れるのは何か、自分は鈍いから分からない。
    どろり、蕩け落ちる箍の音。はっきりとは聞こえずとも、消えたことが分かる理性。
    ……穿たれた痛みは、戒めだ。
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