C4-621 「手術開始。」
無機質な天井、白くすべてを塗り潰すかのような照明、顔の見えない技師、その背後にある無数のアーム。
それが、『私』の最後の記憶。
遠い遠い日の、終わりの記憶。
「お前に意味を与えてやる、621。」
起動。
忙しなく脳内を飛び交ういくつものセットアップをこなす自動音声の隙間から、そばに立つ人間の声が響く。手足はまだ動かせず、目も首も動かせない私は唯一動かせる思考の中で思う。
意味って、なんだろう。
やがて、視界が開く。視神経が正常に動作し始めたようで右へ左へと視界が揺れる。異常なし。ぐ、ぱ、ぐ、ぱ、と手を握って開く動作を繰り返しながら私を起こした人の事を考えた。
まず私を起こした人間は私を自分の基地へ連れていきまずは基本的なデータをインプットさせた。それから、やがて必要になるであろう知識を私の脳に詰め込むと人型兵器へと私を積み込んだ。
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