流れる者と留まる者海灯祭が、もうすぐ終わる。
花火も打ち上げ終わり、璃月の民は各々この日の終わりを大切な人と過ごしている。
空は天衡山にいた。いつも彼の傍らにいるはずのパイモンはつい先ほど香菱に呼ばれ、今日あまり売れなかったスライム料理の消化を手伝っている。
空は一人で、遠くに飛んでいく多くの霄灯を眺めていた。
(空はどこだ?)
魈は空を探していた。
もうすぐ海灯祭が終わる。例年通りなら祭になど参加せず、妖魔退治に勤しんでいただろう。
しかし今年は違った。異郷の旅人、空が、魈を海灯祭に誘った。
空達と共に食卓を囲み、花火が見える時間になると空は魈の手を引き、
「早く早く!いいとこがあるんだ!」
と天衡山まで連れていった。魈は今年、空とパイモンと、花火をゆっくりと眺めた。
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