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    KabeuchiNorico

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    KabeuchiNorico

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    めちゃくちゃ怖かったんだけど!?

    文章に起こすとそうでもないある日、研究室の秘密のロッカーを勝手に開けられ整理されていた。
    まあ何日も整理しに来なかった後ろめたさはあったから、なにも言えなかったんだけど、
    妻と息子を従えたおじさんに、おずおずとあることを切り出される。私がロッカーに猫を閉じ込めて殺していた、と。
    その途端私はものすごい勢いで妻と子供とおじさん、研究室のメンバーにせめられるが、おじさんがその猫の名を言うとジローだった。ジローはよそのうちの猫で、上に○○というネコが居る。私がロッカーを放っておいた時期とは全く合わない。そこでおじさんの言いがかりだということが判明する。私はまだおかしいな、という程度で気づいていなかったが、妻と子が正義感あふれるシャカシャカのスポーツウェア、紺の野球帽、清潔で潔白のかたまりのような男(もとい夫、ここでおじさんから男に変わった)を逆に責め立て始め、離婚することが決まった。離婚するんだあ、と思ったところで急に恐怖が湧く。おじさんはニタニタしている。私はショッピングモールの1階でおばあちゃんへのお土産を買わなければいけない、という言い訳を頭のなかに入れながら、いつものお店へと向かっていた。あのお店ならちゃんとおばあちゃんの好みのものが見つかるはずだった。でも私は逃げていた。あの男が追ってきているのを感じた。正義感たっぷりだった。ネコ、ネコと言いながら追いかけてくる。私は隙をついて4階の店に行くことにした。あの店ならもっとおばあちゃんの好みの商品が見つかると言い訳していた。視界はまるで魚眼の様で、4階にあるお店と、商品を思い出していた。多分和風で良い感じのものがあったはず、と記憶を辿る。でも頭の中は同時にあの男から逃げなければという気持ちでいっぱいだった。言い訳して、自分は本当は1階に行きたいのに、あの男がくるかもしれないから4階にいく。ただ買い物をしているだけじゃないことがバレると大変な目に合うのだった。ところが、正義感たっぷりの男が自分が絶対に正しい、という顔で1階ではなく4階に居た。男がが私を糾弾しようと口を開く。ネコ、という言葉を言わせる訳にはいかなかった。誰も男の正義を疑っていなかったから、私はもうとにかく逃げた。
    ショッピングセンター中の手すりを滑り降りる。とにかく帰りのジェットコースターに乗るために地下に向かった。男は正しく追いかけてくる。彼はずっと正しい。でも彼は本当のことは言っていない。でっち上げなのに、彼自身もそれを忘れていたから、ネコ、ネコと言いながら追いかけてきた。
    服飾店の服の間を駆け抜け、手すりを滑りおり、裏手へ。狭く細長い、半分外になっている待合室を抜けるつもりだった。そこには子ネコやフクロウ、動物を手にニコニコと笑っている子供たちやその家族が壁に沿ってずらっと一列に並んで座っていた。みんな、新しいペットを迎えるためご満悦だった。狭いけれどここを抜けていくしかない。時期にあいつもここに来るだろう。ごめんなさい、と言いながらとにかく家族の間を抜けていく。(映画館ですでに座っている客の奥に座らなければいけない時の感覚に近い、)皆ニコニコしてネコを抱えていてとても楽しそうに道を譲ってくれる。大きな白いフクロウが4羽、ふくふくと座っていて思わず一撫でしてしまう。そして一抹の不安が過ぎる。ここにあの男が来た時、ネコを一匹奪って、それが証拠とばかりに私がそのネコを殺したと糾弾するだろう、と。そんなことあってはならない。と同時にそうしてくれれば、ここにいる人たちは否応なく真実を知ることになり、あの男のことをやり込めてくれるに違いない、と言う考えも過ぎった。真実を知る人ができる。あの男は正しくない、とキッパリ言ってくれる味方ができる。私は助かるのだ。とりあえず私は逃げ続けた。あいつとの距離が開けば、ジェットコースターの便を1本でも早く出れれば、逃げ切れる。
    2番通路の動く廊下に飛び乗った。絶妙な曲線を描きながら、くねくねと廊下は上下に揺れる。廊下というよりトンネルに近かった。立てるほどの天井はないので、座っているが、これでは遅すぎる。男との距離を稼がねばならないのに、私は道選択のための障害物にぶつかる。全自動で避けてくれると思ったのに、実は手動だった。重い障害物をなんとか抱え上げて通過したが、だいぶ時間を使ってしまった。男が正義感たっぷりに追いかけてくるビジョンが見える。ジェットコースターの発着所についた。
    ジェットコースターは先頭が天井を向いて斜めに立っており、後方の座席に行くには、階段を降りるようにして向かう。すでに座っている台湾人の家族や乗客がいる。発車が近いらしい。まだ男はこの発着所にあらわれていない。もしかしたら振り切れたのかもしれない。しかしできるだけ見つからない様にするため、私はアクロバットよろしく、座席をすごいスピードで滑り、駆け降りた。なんだか胸騒ぎがすごかった。もしここに男が現れて、ネコ、と糾弾されれば誰も味方してくれないという確信があった。それくらい、男は自分がネコ殺しをでっち上げたということを全く覚えていなかったし、正義を振りかざして私を罰することを躊躇しなかった。
    真実を知る、店の裏手の細い道の人たちが現れ、私を助けてくれるとしても、随分時間がかかるだろう。私は座席を下っていった。中々顔を隠せそうな場所が見つからないが、まだ男がやってくる気配はなかった。たぶんずっと距離を開くことができたのだろう少し安堵して、一応、すぐに逃げられそうなシートベルトのない座席に座った。
    すると、シャカシャカにキャップを被った男が目の前に立っていた。ニタニタしているが、全く正しさに溢れていた。右手に知らない子猫が握りしめられていた。男がネコ、と発したところで台湾人の家族と、座っていた全乗客がこっちを向いた。

    ...というところで目が覚めました。
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    KabeuchiNorico

    MOURNINGめちゃくちゃ怖かったんだけど!?
    文章に起こすとそうでもないある日、研究室の秘密のロッカーを勝手に開けられ整理されていた。
    まあ何日も整理しに来なかった後ろめたさはあったから、なにも言えなかったんだけど、
    妻と息子を従えたおじさんに、おずおずとあることを切り出される。私がロッカーに猫を閉じ込めて殺していた、と。
    その途端私はものすごい勢いで妻と子供とおじさん、研究室のメンバーにせめられるが、おじさんがその猫の名を言うとジローだった。ジローはよそのうちの猫で、上に○○というネコが居る。私がロッカーを放っておいた時期とは全く合わない。そこでおじさんの言いがかりだということが判明する。私はまだおかしいな、という程度で気づいていなかったが、妻と子が正義感あふれるシャカシャカのスポーツウェア、紺の野球帽、清潔で潔白のかたまりのような男(もとい夫、ここでおじさんから男に変わった)を逆に責め立て始め、離婚することが決まった。離婚するんだあ、と思ったところで急に恐怖が湧く。おじさんはニタニタしている。私はショッピングモールの1階でおばあちゃんへのお土産を買わなければいけない、という言い訳を頭のなかに入れながら、いつものお店へと向かっていた。あのお店ならちゃんとおばあちゃんの好みのものが見つかるはずだった。でも私は逃げていた。あの男が追ってきているのを感じた。正義感たっぷりだった。ネコ、ネコと言いながら追いかけてくる。私は隙をついて4階の店に行くことにした。あの店ならもっとおばあちゃんの好みの商品が見つかると言い訳していた。視界はまるで魚眼の様で、4階にあるお店と、商品を思い出していた。多分和風で良い感じのものがあったはず、と記憶を辿る。でも頭の中は同時にあの男から逃げなければという気持ちでいっぱいだった。言い訳して、自分は本当は1階に行きたいのに、あの男がくるかもしれないから4階にいく。ただ買い物をしているだけじゃないことがバレると大変な目に合うのだった。ところが、正義感たっぷりの男が自分が絶対に正しい、という顔で1階ではなく4階に居た。男がが私を糾弾しようと口を開く。ネコ、という言葉を言わせる訳にはいかなかった。誰も男の正義を疑っていなかったから、私はもうとにかく逃げた。
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