そこには快晴があった とある正午のバイト中、途中で店長がおもむろに外へと出かけようとしているのを見た。
「あれ、お出かけですか?」
「あぁ、呼ばれて」
私はこの時、声をかけていたにもかかわらず、彼に何にも違和感を感じなかった。
集が気付けばここに存在し、居残る事になったこの世界は“かつていたゲームの世界”よりも比較的何の変哲もない、平和な日々が過ぎていくだけの生活。
日当たりのいい商店街のとある本屋さんでアルバイト。終われば大好きなからあげでも買いに行って。食べ歩きしながら夜の街をちょっと散歩。そして眠くなればネカフェで寝泊まり…。
そんな日常に慣れ始めていた集にはあまりにも気が緩んでいた。感じ取れなかったのである。
「行ってらっしゃい!」
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