今だから結婚式が終わった数週間後、仕事で一緒になったナックルとシュート。
飛行船乗り場の待合室で、沈黙に耐えかねたのかそれとも前々から言おうと思っていたのか、ナックルが真剣みのある顔で言った。
「俺さ、ラキの事好きだったんだよ」
「…男二人と女一人で修行してたんだ。そうなるのも無理はないな。告白しなかったのか」
「お前よくそれ訊けるな。自分の嫁さんの事だぜ?」
「過去形だからな。それに彼女がお前に靡くことは絶対にない」
「すげぇ自信だな。ま、それもそうか」
「で?俺の質問にはどう答えるんだ?」
頭の後ろを少し掻いて、ナックルは答える。
「しようと思ったよ。けどよ、お前と話してる時のラキを見てて気づいたんだよ『もう既にアイツの心は別のもんで埋まってる』って。俺の入る余地なんて、初っ端からなかった」
タイミングよく、二人が乗る予定の飛行船の案内がかかる。
荷物持ってナックルは立ち上がると、言った。
「お前でよかったよ、ラキの旦那は」