はつこいのひと両片想いの渉友渉
何かのタイミングで渉と同室に泊まることになった友也、渉がウキウキした様子で友也のベッドまで上がり込んできて枕抱き抱えながらキャァキャァ楽しそうにしながら恋バナしましょう!とか言うてくるから、えぇ…って思ってたら渉がベラベラ喋り始める。
友也くんの初恋の人はどんな人ですか?なんて聞くからこれは話すまで寝かせてもらえないやつだと思い腹を括る。
あ〜…髪長かったですね…なんて言いながら微かに残っていた幼い頃の初恋と言えるかわからないような、ただただ追いかけていた人の特徴を述べていたつもりだった。
可愛いと言うよりかは綺麗って言葉が似合う人だし……って最初はちゃんと過去形で昔のことを話してたつもりなのに段々と今の、ちゃんと自覚をした初恋の、目の前にいるその人の話になっていってるのに気付かなかった。渉が話を引き出すのが上手すぎたのだ。
特徴を一通り述べ終わるとなんだか渉は少し寂しそうにしながらも、そんな風に思ってもらえる友也くんの初恋の人、ううん、好きな人はきっととても素敵な人なんでしょうね。と力なさ気に笑った。
それを見たとき、なんだかよくわからないけど今しか言うときがない、なんて思ってしまった友也は、うん。俺のこんな話にも付き合ってくれる素敵な人。ってすぐ横が見れないから変わりに顔のすぐそばに落ちてた絹糸のような髪の毛をクルクルと指に巻き付けながら言う。
ギュッと巻き付けていた髪の毛が友也の指をしめる。
それと共に突然動きがとまった隣を見ると髪の毛が顔中に巻きついて団子のように絡まっている。
な、なに?!どうしたんだよ!!と驚きながらも絡まっている髪の毛をスルスルと解いていく。
髪の毛の隙間からうっすらと赤みを帯びて、潤んでいる瞳とぶつかると、みないでください。と弱々しい声と共に大きな手のひらが目を隠した。
目元に当てられた手は微かに震えているような気がして、先輩。と自分でも驚くほど優しい声が出る。スっと息を飲む音がしてもう一度呼ぶ。彼の手を柔らかく自分の両手で包み、そっと目元から外す。
先程一瞬だけ見えた顔が今はしっかりと見えるようになっていた。
すきです。
静かになっていた部屋に友也の声だけが響く。動かない目の前の人に、さっき言った初恋の、好きな人の特徴を繰り返す。
俺の初恋の人って、
あんたのことだよ。と声にする前にぎゅぅとキツく抱きしめられる。
嘘ではないですよね?本当に?と、縋る子どものような声で言われるから負けじとこちらも強く相手を抱き締め返しながら、こんな嘘つく訳がないだろ!と笑っていってやった。
抱き締め返したその人とそのまま2人でベッドに沈みこんだ。
あはは。なんて普段は聞かないような柔らかい笑い方で抱きしめていた腕を緩くしながらお互いの顔を見合う。あの日女神様だと思った時のように優しく、恋に浮かされる少女のようなあどけなさで彼は
私も好きです。
と返した。