domsubかざすわ没シーン「諏訪さん、ほら、飲んでよ」
太刀川に促され、心臓がどくりと脈打った。現実が遠のいていく。
ぼんやりとした思考でジョッキを受け取り、そうしなければならないとただ、ぐびりぐびりとジョッキの中身を飲み干す。一滴残らず飲み干して、太刀川にジョッキを返して、じいと待った。
俺を見る太刀川の顔が引き攣っている。
「……あ?」
俺は一体、何を待っているんだ?
と思った瞬間、血の気がひいた。
パートナーではない相手の言葉を、完全にコマンドとして身体が受け入れてしまった。その事実に気づいた瞬間、指先から熱が失われ始めた。ぐらりと体が揺れ、太刀川の身体にもたれかかった。身体が揺れている。酔っているのとは違う、平衡感覚の失われ方に気分が悪くなった。
「あ、ちょ、え、これ俺風間さんに殺されるやつじゃん……?」
「太刀川半泣きになってないで、とりあえずrewardしたほうがいい」
「よ、“よくできました”・・・・・・」
幾分か気分がマシになり、ふぅ、と息をつくと太刀川がこわごわ俺の背を撫でた。太刀川にそんなつもりはないとわかってるのに、すぐにフォローの言葉が出ず、申し訳なさが募る。
「風間呼ぶが、いいな?」
東さんが俺を覗き込みながら言って、数拍置いて頷いた。
太刀川が「あー、俺、風間さんのリンチ決定じゃん」と諦観した声で言った。