没にした読み切りかざすわ冒頭部風間は滅法俺に甘い。
だから今朝も俺が気圧の変化にやられて起きるのを怠がっていると、もうすっかり目は冴えている様子なのに俺に合わせてなのか、珍しくまだベッドの上にいる。筋肉質だからか、体温が高く感じる。皮膚に湿度が纏わりついて、身動ぐと皮膚同士がひたりと吸い付くように触れた。
「起きねーのか」
「たまには悪くないかと思って」
「行きたいとこあったんだろ」
今流行っているラーメン屋だとか、この前テレビで紹介されたカフェだとか。いつどういうところで情報を仕入れているのかしらねーけど、休みが被るとどこかしらへ連れ出される。到底普段の様子からは流行りものが好きなようには見えないので、これもある種の愛情表現ではと自惚れてもいる。
「朝からプレイするのも悪くないかと考えている」
風間が俺の前髪に触れた。生え際をなぞるようにたどって、耳に触れ、肌が粟立つ。コマンドと舌先を受け入れることですっかり性感帯に変えられている耳に触れられるだけで、プレイへの期待が増した。おかげでさっきまでの頭痛が薄れていく。ごくと生唾を飲むと、風間が笑った。
「悪くないだろう?」
「悪く、ねーけど、その前に顔洗わせろ・・・・・・口もゆすぎてぇ」
「そのままでいい」
「なんでだよ嫌だよ」
「寝起きのなし崩し感が、背徳感があっていいだろう」