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    S2zKu

    長過ぎる妄言の供養などはここ

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    大きくなったらねの約束を守らせるリオのリヌ

    幼少期、祖父に連れられてエピクレシス歌劇場に一つの裁判を見に行ったリオ
    幼いが故に裁判なんて難しくてつまらないだろうと思っていた時
    「静粛に」
    って凛としたその一声で、ザワザワとしていた劇場が一気に静まり返って、その声の主がいる舞台を見上げたら、人とは思えない(実際人ではない)程美しい人が背筋を伸ばして立っていて、そこからは内容なんて覚えてなかったんだけど、ずっとヌヴィさんをショタリオは見つめていたんですよね、そうです、一目惚れです
    裁判が終わった後、帰ろうとする人波の中に祖父が旧友を見つけたようで、立ち話が始まってしまい、中々終わらないのを見越して「おれ、その辺を散歩してくる」って言って暫く外をウロウロしちゃうんだけど、建物の裏口を見つけて入って行ってしまって、案の定あまり慣れない場所で迷子になってしまうんですよね
    薄暗くて積荷がそこかしこにあるような廊下でどうしようと途方に暮れていたところに「そんなところで何をしている?」って硬い声が聞こえてきて振り向くと「子供だったか。…君、どうしてこんなところに?」ってしゃがんで自分に目線を合わせてくれたのは、さっき舞台の上に立っていた美人さんだったわけです
    事情を話すと「ここは裁判に使う物証となるものも多いので危ない。1人で来たわけではないのだろう?出口はすぐ近くだ。親元まで案内しよう」って言ってくれるんだけど、目線も距離も近くなったことで、海のような蒼の中にほんのりと紅が混じる不思議な瞳の色とか透き通るような肌や柔らかく流れる長い髪がとても綺麗で思わず見惚れてしまって「どうした?まさか、どこか怪我でもしているのだろうか」って聞かれてしまって、ハッとして「何でもない、…です。出口まで案内してもらえるなら助かる…ります」って慣れない敬語で返すショタリオに対して微かに笑って「私と話すのに畏まる必要はない。普段通りに話すといい」って歩き出すんですけど、歩幅が違うのでショタリオが少し小走りになっちゃったんですよね
    それを見て、立ち止まって少し考えた後内心戸惑いながらもそっと己の手を差し出すヌヴィさんは、おずおずと重ねられたショタリオの手をそっと握ってまた歩き出すんですよ
    見た目の印象に反して、冷たさの中にほんのりと暖かみも感じる手のひらを握り返しながらドキドキしてるショタリオなんですけど、子どもが迷子になる場所なんてそう離れてないので、建物から外に出たらあっという間に祖父と別れた場所が見えてくるんですよ、ここに来てショタリオは焦ります
    このままもっと一緒に居たいけど、子供心にそれは無理だと理解もしている、でも、だからこそ、何か残したくて周囲を見回したショタリオの目に一つの花が見えたんですよ
    パッと手を離して駆け出したショタリオに驚くヌヴィさんに「すぐ戻る!」って大声で言って、草むらに咲くその花を摘んで駆け戻って開口一番に「これ、あんたに」って小さな手のひらが差し出したのは薄紫から空のような青色へと変わるグラデーションが美しい、ルミドゥースベルなんですよね(奇しくもその花の花言葉は「離別」それと「再会への願い」なんですけど、少年は幼く、花言葉に興味もなかったので知りませんでした)
    「案内してくれてありがとう、ここまで来たらもう大丈夫だ」って渡しつつ、でもまだ離れ難くて、次会った時にもっとずっと一緒にいられたら、って思った時にふともっと小さかった頃に読んだ絵本のことを思い出すんですよ
    『2人は結婚して、ずっと一緒に仲良く暮らしましたとさ』
    幼子の単純な思考では、それがとても名案のように思えて、「あんたが好きだ、次会ったらおれと結婚してくれないか」ってプロポーズするんですよ
    そんなショタリオの急な申し出に内心たじろぐヌヴィさん(それはそう)
    ショタリオの強い瞳の輝きに、少年が幼心に本気で求婚しているのを感じて「ありがとう。だが、私は…」って私は君に好きになってもらえるほどの存在じゃないって真面目に答えようとして、子供に対して言うべき言葉ではないなって思い直すんですよ
    では、どう答えるべきかって数瞬考えて、街中を歩いていた時に聞こえた民の言葉を思い出したんですよ
    『僕、ママと結婚する!』
    『まぁ!ふふ、嬉しいわ。貴方が大きくなったらね』
    「…君がもっと大きく、更に強くなった時にその申し出を受けよう」って返し、花を受け取るヌヴィさん
    これでダメだったらどうしようかと思っていたヌヴィさんを他所に、ショタリオは「わかった」と返してくれたので、ホッとするんですよ
    「またな」って言って去っていく小さな後ろ姿を静かに見送りながら、成程、人はあのようにして幼子の心を傷付けずに申し出を断るのだな…って内心感心したりしてたんですよね
    それから十数年後、メロ要塞の番人に就任した時に「俺はあの頃から比べれば、大きく、強くなったつもりだが、今なら申し出を受けてくれるか?」って聞いてくるリオに「何のことだろうか」って首を傾げるヌヴィさん
    「つれないな、昔あんたに結婚を申し込んだ子供がいただろう?」って笑いながら返す青年の瞳の強い輝きを見て、その姿が迷子になっていた少年と重なって、思わず目を見張るんですよ
    昔は小さな少年だった青年は気持ちを巧みに隠す事に長けていたので、ヌヴィさんも気付かなかったんですよね
    「その反応だと覚えててくれたみたいで嬉しい限りだ。さて、話を戻すが、俺の申し出を受けてくれるな?それとも、もっと強い男が好みかい?」ってグイグイ来る青年に、人間は男女で子を成して繁栄していく生き物だという意識が強めのヌヴィさんは「だが、私は男性で、君も、」って言い募ろうとするんだけど「同性婚を禁止する法律はフォンテーヌにはなかったはずだが?それとも最高審判官殿は、幼子とはいえ、一度交わした約束を反故にするとおっしゃるので?」って返してくるので、確かに自分は大きく強くなったら申し出を受けると言った、だがそれは幼子故の憧れや好意を履き違えたもので、成長する内に忘れるか過去にするもので、でも、この青年は忘れずに今までずっと覚えていて、ならば、自分は、どうすべきなのだ?って今まで聞こえてきた民の声の中にも答えが見つからず内心オロオロするヌヴィさん(表に出ている顔色は一切変わっていない)に「まぁ、急に昔の話を持ち出して頷けってのも横暴な話だ。今の俺を知ってもらった上で、頷いてもらわなければ意味がない。とは言っても、普段俺は要塞であんたは此方で仕事があるからな…そうだな、手始めに文通なんかはどうだ?」っていう歳下の猛攻に「…君の提案を了承しよう」って混乱のまま受けちゃうヌヴィさん、そんな文通から始まるリヌの話を読みたい
    蛇足だけど、リオの猛攻は敢えてそうしている部分が多分にあります、結婚も頷いてもらえるなんて全く思っていません、でも、それならばとアピールチャンスは掴んでます(ドアインザフェイス)
    「本来ならヌヴィレットさんのペースに合わせてあげたいが、俺が死ぬまでに結婚したいんでね」ってアフタヌーンティーを楽しみながら零す公爵様がいたとかいないとか
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