ありんこ〈第一話〉
とあるサークルでの夜ご飯。
テーブルには「くろ」「けい」「らぺ」「あろぺん」の4人が座っていた。
メニューには「舟盛り唐揚げ ありんこ号」の文字。4人は意気揚々とそのメニューを頼んだ。すると運ばれてきたのは……大きな皿に盛られた、大量の唐揚げだった。
「えーっと……これは?」
4人を代表して黒髪の青年が店員さんに尋ねると、店員さんはニコニコしながらこう言った。
「当店からのお祝いです! 本日開店なので!」
【あとがき】
お読みいただきありがとうございました。
今回もかなり長くなってしまいました。
次回の更新は5月22日の予定です。
どうぞよろしくお願いします!
〈第二話〉
とあるサークルでの飲み会。
テーブルの上には、料理や酒が置かれている。皆それぞれ好き勝手に飲んで食べて喋って騒いで……。そんな中、「あろぺん」という女性が突然泣き出した。
「うわあああん!! どうしてよおお!!」
彼女の名は「あろぺん」。
彼女は自分の目の前に置かれたコップを手に取り、中に入っている酒を一気にあおった。そして再び机に突っ伏して泣き始める。そんな彼女を慰めようと、他の3人も彼女に声をかける。
「まあまあ落ち着いて……」
「大丈夫ですよ~」
「何かあったんですか?」
3人の言葉を聞いたあろぺんは、バッと勢いよく顔を上げて叫んだ。
「だって今日は私の結婚式なのにぃいい!!」
【あとがき】
お読みいただきありがとうございます。
今回は少し短いですがキリが良いのでこの辺にしておきます。
次回更新は5月24日(土)の予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。
〈第三話〉
とあるサークルでの飲み会。
テーブルの上には、料理や酒が置かれている。皆それぞれ好き勝手に飲んで食べて喋って騒いで……。そんな中、「けい」という名の女性が声を上げた。
「あのさ、ちょっと相談があるんだけど」
「何ですか?」
「実は最近、ある人に恋をしたんだよ。でもその人のことが好きだっていう自覚がないんだよね」
「へぇー、それで? 相手はどんな感じの子なんだい?」
「背が高くてイケメンで優しそうな人なんだ。あと年上だから大人の余裕があってね」
「ほうほう」
「でも今のままじゃダメだと思うんだよね。このままだとただ憧れてるだけになる気がする」
「そうですね」
「けい」の問いかけに対し、「らぺ」は淡々と返事をする。「けい」が続ける。「そこで私は考えたわけだ。『まずは自分の気持ちに気づいてみよう』ってね。ということで協力してくれるかい?」
「もちろん良いですよ~」
「私も良いですよ」
「らぺ」と「くろ」の2人からOKをもらった「けい」は嬉しそうに笑った後、「あろぺん」に向かって話しかけた。
「そういう訳なんで、あなたも協力してくださいね」
「えっ!? ちょ、まっ……ぐふぅ」
いきなり話を振られたあろぺんは驚いて変な声を出してしまい、そのまま気絶した。
【あとがき】
お読みいただきありがとうございました。
次回の更新は5月26日(火)の予定です。
どうぞよろしくお願いいたします!
〈第四話〉
とあるサークルでの飲み会。
テーブルの上には、料理や酒が置かれている。皆それぞれ好き勝手に飲んで食べて喋って騒いで……。そんな中、「くろ」という名の男性は声を上げた。
「あぁーもう! ほんっと腹立つ!」
「どうしました?」
「あいつのことだよ! あいつ! 同じサークルの男!」
「あぁ……例の先輩ですね」
「うん!そいつ!」
「くろ」が怒りながら指差したのは、先ほどからずっと黙っている青年だった。青年は、サークルでは「key先輩」と呼ばれている。彼は無表情で酒を飲んでいる。その様子を見て、「くろ」はますます怒った。
「大体、どうしてあんな奴がモテるのか理解できない! 性格悪いじゃん!」
「確かに。特に秀でたところもないような……」
「だろ!? 絶対おかしいよな!?」
「はい」
「俺、こんなに頑張っているのに、全然女の子と仲良くなれないし、告白も成功しないんだよなー。どうしてだろうなー」
「それはきっと、努力が足りないんですよ」
「努力って何をすればいいんだ? 俺はいつも一生懸命やっているつもりなんだけどなー」
「もっと自分に自信を持って下さい。あなたは素敵な方ですよ」
「らぺ」は怒っていた「くろ」を宥めるように肩を叩いた。
「ありがとう。お前は優しいな」
「いえ、そんなことないですよ」
「あはは、謙遜するなって。ところで、key先輩はどうしてあそこまで嫌われているんだろうな? 俺には分からないよ」
「まあ、顔が良くて頭も良くてスポーツもできるからじゃないですか?」
「あぁ、なるほど。そういうところか。羨ましい限りだ」
2人は笑い合った。
【あとがき】
お読みいただきありがとうございました。
次回更新は5月29日(木)の予定です。次回は最終回です!
どうぞよろしくお願いします!
〈第五話〉
とあるサークルでの夜ご飯。
4人はテーブルに座って食事をしていた。メニューは「舟盛り唐揚げ ありんこ」である。
食事をしながら、4人の会話が始まる。話題はそれぞれの恋愛事情について。
「あのさ、最近気になる人がいて、その人と一緒に遊びたいと思っているんだけど、どうやって誘えばいいと思う?」
「けい」は「くろ」に相談をする。
「そんなの普通に『一緒に遊ぼうぜ!』って言えば良いんじゃねえか?」
「いや、なんかそれじゃダメというか……もっとこう、スマートに誘いたいというかさ」
「はあ? 何言ってんだよ?」
「うーん、やっぱり難しいかな?」
「まあいいや。とりあえず頑張れ」
「ああ、うん」
「けい」は苦笑した後、「次はお前の番だぞ」と言いたげな目で「くろ」を見た。
すると、「くろ」の隣にいた「らぺ」が口を開いた。
「私は今、好きな人とデート中です」
「あろぺん」は驚いた。
「え!? 今デート中ってどういうこと!?」
らぺは淡々と続ける。「はい。私は彼と付き合うことになりました」
「……マジで?」
「はい」
「いつの間に?」
「つい最近です」
「相手は誰?」
「あろぺんです」
「……へっ!? 私!?」
突然名前を呼ばれたあろぺんは素っ頓狂な声を上げる。らぺは落ち着いた様子で話を続ける。
「そうですよ。あなたです」
「いや、ちょっと待って! どうしてそうなったの!?」
「あろぺんさんは可愛いですし、性格も良いですから、当然の結果ですね」
「いや、可愛くないし、性格も良くないって! というか、私が好きだなんてありえないよ!」
「私はあなたが好きですよ」
「……えっ」
「あろぺんさんのことが大好きです」
「……」
「あろぺんさん?」
「あっ……ごめんなさい。ちょっと驚いて……まさか私のことを好きになってくれる人がいるとは思わなかったから」
「はい。だから嬉しいんですよ」
「……ありがとうございます」
「どういたしまして」
「…………」
2人のやり取りを見ていた「くろ」と「key先輩」は唖然としている。そして、彼らは思った。
((なんなんだこの茶番劇は?))
「おい、key先輩。あれは何だと思う?」
「さあ? ただのドッキリじゃないかな」
「だよなー」
「くろ」と「key先輩」は呆れた表情を浮かべていた。
【あとがき】
お読みいただきありがとうございました! 今回が最終話になります。今まで応援して下さり本当にありがとうございました!! また別の作品でもよろしくお願いします。
———とあるサークルでの夜ご飯。
4人はテーブルに座って食事をしていた。メニューは「舟盛り唐揚げ ありんこ」である。
食事をしながら、4人の会話が始まる。