触れたその後は ぴくんと、目の前の耳が跳ねた。触れていいかとたずねてから、まるで林檎みたいに真っ赤になったスオ~の顔はめちゃくちゃ可愛い。絹みたいなサラサラの赤髪によく映える、白くて長めの耳が頭の上から生えているこの光景。どう見ても非日常的だけれど、これも音楽の女神様からの贈り物かもしれない。そう言ってこの突飛な状況に理由を付けようとしているだけかもしれないけど、まあ正直今はどうでもいい。
「……いい?」
「……はいっ……」
ぎゅっと目をつぶって、おれの手が触れるのを待ってるスオ~。一応ただ耳を触ると言っただけなのだから、やましいことなんて何もないはずなのに。それなのにそんな真っ赤になって、おれのお願いをきこうとしてくれて、おれにすべてを預けようとしてくれるその優しさに胸がじんわりあったかくなる。表に出さないだけで、ちょっとヨコシマな気持ちもあるけどさ。
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