アズールに寄り添うラギーのお話。 小さい頃、オレの頭を撫でたばあちゃんの優しい手を思い出した。
「わたしの可愛いラギー坊や、ねんねんころりよ、さあ、目を瞑って優しい夢を見て。明日にはきっと良くなってるさ」
熱に浮かされた頭で、オレはばあちゃんの温かい手のひらを感受しながらこう問いかけたのを覚えている。
「なんで夢を見るには目を瞑らないといけないの?」
「夢ってのはそういうものなのさ。目を瞑ると見えて、目をあけると消えてしまう。だからこそ、人は夢に翻弄される。優しい夢を見ると幸せな気分になるだろう?」
「ドーナツをたくさん食べる夢とか?」
「そりゃあ、いいや」
そう言ってばあちゃんは笑い「もう寝なさい」とオレの瞼を優しく撫でた。
ちいちゃなオレは「ドーナツ、いっぱい食べれるといいなあ」と思いながら、微睡むようにゆっくりと目を閉じた。
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