トラップブック ポップは不貞腐れていた。己の行動が招いた結果であるのは間違いないが、どこか納得できない気持ちだった。
ポップは本になっていた。比喩でも冗談でもなく、本になっていた。表紙はポップの顔になっており、律儀にバンダナが背表紙に付いていた。
それもこれも、ポップがマトリフの洞窟で開いた本のせいだった。ポップはパプニカで宮仕えをしているが、時々マトリフの知恵を借りに洞窟へと赴いていた。
しかし今日はマトリフは留守だった。ポップは実家に帰ってきたような感覚で洞窟で寛ぎながらマトリフを待っていたのだが、そのときふと本棚のある本に目が留まった。
タイトルが古語であるが、どうもいかがわしいタイトルに読めてしまう。現代語に訳すなら「魔界のエッチ盛り合わせ」とでもなるのだろうか。古代の人もすけべだったんだなあとポップは思いながら、つい手が伸びてしまった。マトリフがいない間にこっそり、最初の一頁だけでも読んでみたかったのだ。
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