Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🌠 🐣 🍩 💕
    POIPOI 301

    なりひさ

    ☆quiet follow

    ガンマトとドーナツ

    #ガンマト
    cyprinid

    やわらかい「お、うまそう」
     そのドーナツを見た途端にマトリフは滅多に見せない純粋な笑みを浮かべた。
     ガンガディアは最近発売したというそのドーナツを買ってマトリフの家へと来ていた。ガンガディアがドーナツ屋の袋を持っているのを見たマトリフは、嬉々としてコーヒーを淹れてテーブルへとついた。
    「どうぞ」
     ガンガディアはドーナツをマトリフの前に置く。マトリフが嬉しいならガンガディアも嬉しい。意外とミーハーというか、新し物好きのマトリフは、新発売と名のつくものを好んでいた。
     マトリフはさっそくドーナツを手にする。そのドーナツは随分と柔らかいらしく、マトリフはそっと持ち上げていた。
     ガンガディアはマトリフが淹れてくれたコーヒーを飲む。苦味と酸味のバランスが丁度良かった。
    「食べないのか?」
     マトリフはもきゅもきゅと口を動かしながら言う。その姿が小動物のようで可愛かった。
    「ダイエット中でね」
     ガンガディアは自分の体型を維持することに注力していた。カロリーの塊のようなドーナツは口にできない。マトリフは「またかよ」と呆れたように言った。
    「そんなに気にしなくっても、十分に痩せただろ?」
    「慢心はいけない。常に努力しなくては」
     どれほど食べても太らないマトリフとは違って、ガンガディアは食べた分だけ体に肉がつく。醜くなった体をマトリフに見られることなんて耐えられなかった。
     だがふんわりと香る甘い匂いにガンガディアはつい喉を鳴らした。本当はすごく食べたい。ドーナツは大好物だ。
    「ほら」
     マトリフはドーナツをひとつガンガディアに差し出していた。
    「いや……」
    「ひとつくらい食ったうちに入らねえって」
    「そんなことはない。そのドーナツひとつにどれほどの砂糖と油が……」
     言いながらガンガディアはドーナツに目を奪われていた。マトリフがドーナツをあーんしてくれている。こんな甘美な誘惑に打ち勝てる者がいるだろうか。いやいない。
     ガンガディアは小さく口を開けると差し出されたドーナツに齧り付いた。途端に甘さが口いっぱいに広がる。その幸せの味に感動してガンガディアは打ち震えた。
     そんなガンガディアを見てマトリフはにやりと笑う。
    「どうせこのあと運動するんだし、いっぱい食えよ」
     ガンガディアはドーナツを咀嚼しながら、今日は運動の予定は無かったはずだと首を傾げる。するとマトリフは意味ありげに笑ってベッドを顎で指し示した。
    「んッ!!」
     ガンガディアはマトリフの言わんとしていることに気づいて咽せた。マトリフは楽しみだと言いながらドーナツを頬張っている。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    kisaragi_hotaru

    MAIKINGガンマトとハドポプが混在している世界線のお話の続きです。マトポプは師弟愛です。ひたすらしゃべってるだけです。
    ダイ大原作と獄炎のネタバレを含んでおりますので、閲覧の際には十分にご注意くださいませ。
    捏造と妄想がかなり激しいです。いわゆる、何でも許せる人向け、となっております。
    このシリーズは一旦ここで完結という形を取らせていただこうと思います。続きを待ってくれておりましたなら申し訳ないです……。
    大魔道士のカミングアウト 5 「――ハドラー様は10年前の大戦にて亡くなられたと聞き及んでいたのだが」

     本日二度目のガラスの割れる音を聞いた後、ガンガディアから至って冷静に尋ねられたポップは一瞬逡巡して、ゆっくりと頷いた。

     「ああ、死んだよ。跡形もなく消えちまった」

     さすがにこのまま放置しておくのは危ないからと、二人が割ってしまったコップの残骸を箒で一箇所に掻き集めたポップは片方の指先にメラを、もう片方の指先にヒャドを作り出し、ちょんと両方を突き合わせた。途端にスパークしたそれは眩い閃光を放ち、ガラスの残骸は一瞬で消滅した。

     「そうか……ハドラー様は君のメドローアで……」

     なんともいえない顔でガンガディアはそう言ったが、ポップは「は?」と怪訝な顔をして振り返った。
    7747