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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    ガンマトとドーナツ

    #ガンマト
    cyprinid

    やわらかい「お、うまそう」
     そのドーナツを見た途端にマトリフは滅多に見せない純粋な笑みを浮かべた。
     ガンガディアは最近発売したというそのドーナツを買ってマトリフの家へと来ていた。ガンガディアがドーナツ屋の袋を持っているのを見たマトリフは、嬉々としてコーヒーを淹れてテーブルへとついた。
    「どうぞ」
     ガンガディアはドーナツをマトリフの前に置く。マトリフが嬉しいならガンガディアも嬉しい。意外とミーハーというか、新し物好きのマトリフは、新発売と名のつくものを好んでいた。
     マトリフはさっそくドーナツを手にする。そのドーナツは随分と柔らかいらしく、マトリフはそっと持ち上げていた。
     ガンガディアはマトリフが淹れてくれたコーヒーを飲む。苦味と酸味のバランスが丁度良かった。
    「食べないのか?」
     マトリフはもきゅもきゅと口を動かしながら言う。その姿が小動物のようで可愛かった。
    「ダイエット中でね」
     ガンガディアは自分の体型を維持することに注力していた。カロリーの塊のようなドーナツは口にできない。マトリフは「またかよ」と呆れたように言った。
    「そんなに気にしなくっても、十分に痩せただろ?」
    「慢心はいけない。常に努力しなくては」
     どれほど食べても太らないマトリフとは違って、ガンガディアは食べた分だけ体に肉がつく。醜くなった体をマトリフに見られることなんて耐えられなかった。
     だがふんわりと香る甘い匂いにガンガディアはつい喉を鳴らした。本当はすごく食べたい。ドーナツは大好物だ。
    「ほら」
     マトリフはドーナツをひとつガンガディアに差し出していた。
    「いや……」
    「ひとつくらい食ったうちに入らねえって」
    「そんなことはない。そのドーナツひとつにどれほどの砂糖と油が……」
     言いながらガンガディアはドーナツに目を奪われていた。マトリフがドーナツをあーんしてくれている。こんな甘美な誘惑に打ち勝てる者がいるだろうか。いやいない。
     ガンガディアは小さく口を開けると差し出されたドーナツに齧り付いた。途端に甘さが口いっぱいに広がる。その幸せの味に感動してガンガディアは打ち震えた。
     そんなガンガディアを見てマトリフはにやりと笑う。
    「どうせこのあと運動するんだし、いっぱい食えよ」
     ガンガディアはドーナツを咀嚼しながら、今日は運動の予定は無かったはずだと首を傾げる。するとマトリフは意味ありげに笑ってベッドを顎で指し示した。
    「んッ!!」
     ガンガディアはマトリフの言わんとしていることに気づいて咽せた。マトリフは楽しみだと言いながらドーナツを頬張っている。
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