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    WA_SAB1

    DBH沼に生息するコナー推しの薬味。
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    WA_SAB1

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    エイプリルフールの話。
    ギャビコナ/コナギャビ。ハンクも出てくる。
    ※下品な下ネタが含まれます。

    #DBH
    #ギャビコナ
    #コナギャビ
    konaCaviar

    4月1日おかしい。アンドロイドな故、ほぼ使うことのないレストルームに赴き鏡を覗く。そこにはいつも通りの自分が首を傾げていた。
    「おはよう、コナー。今日も最高に間抜けな顔してるぜ!」
    「コナー、君のファンから苦情がきてるよ!」
    「コナー!大変だ!アンダーソン警部補がバディ解消したいってファウラー警部に頼んでたぞ!」
    間抜け面かどうかはさて置き、苦情なんて一切入っていなかったし、ハンクがバディ解消なんて有り得ない。やっぱり変だ。今日は皆言動がおかしいのだ。ちぐはぐな発言とは逆に、何故か皆ニコニコと此方の様子を伺って楽しんでいるよう。再度首を傾げていると扉の向こうに人の気配を感じた。
    「げっ、お前かよ。」
    「おはようございます、リード刑事。人の顔を見て“げっ”とは随分なご挨拶ですね。」
    「なんでお前が便所にいるんだよ。潮は噴くけど小便は出ねぇだろうが。」
    あからさまに嫌そうな顔をする彼とは身体だけの関係、所謂セックスフレンドというやつだ。詳細は割愛するが、初体験は完全に事故。お互いに嫌い合っていたし、やむを得ずだったと声を大にして言いたい。ただ身体の相性だけは良かったのでずるずると曖昧な関係が続いているのだが。
    「デリカシーのない人ですね。僕だって手を洗ったり、身だしなみを整えに来ることもあるんです。」
    ふーんと興味無さげに返事をするギャビンと鏡越しに目が合う。
    「で?」
    よく分からないと瞬きで返すとギャビンのストレス値が上昇した。
    「何か悩んでるんだろ?」
    ため息をつきながら呆れた視線を送ってくる。彼は腐っても現役刑事だということを再認識する。何だかんだ言いつつも話を聞いてくれるようだ。
    「悩んでいると言いますか…疑問に思っている?」
    「なんで疑問系なんだよ…」
    「今朝から皆さんの言動がおかしいです。昨日までは問題なかった。言ってる事と態度が一致しないんですよ。ソーシャルモジュールを用いても不可解としか思えない。僕は何かしでかしたのでしょうか?」
    「…今日は何日だ?」
    洗面台にもたれ掛かり腕組みをしているギャビンが静かに尋ねてきた。正直意味が分からない。
    「4月1日。天気は晴れ。降水確率は10%。気温は…」
    「もういい。日付で検索してみろ。」
    言われた通り検索して納得した。やっと謎が解けたのだ。
    「成程。今日はエイプリルフール。」
    「そういうこった。」
    それだけ言うとレストルームから出ていこうとするギャビン。困惑していた自分へ助言する為だけに態々出向いた?まさか彼に限ってそんなことは有り得ない。そうだ、折角のエイプリルフール。とっておきの嘘を彼にプレゼントしよう。
    「リード刑事、ありがとうございます。大好きですよ。」
    ピシッと空気が凍りつく。怒り、呆れ、悲しみ。視線が絡んだ瞬間、自分が何か間違った選択をしてしまった事に気付いた。振り返ったギャビンの表情は複雑すぎて笑い飛ばすことは出来なかった。気まずい空気を割くように12時の時報がDPDに鳴り響く。いつもの調子に戻ったギャビンは舌打ちをし去っていく。
    「おい、俺も大好きだぞ。クソプラスチック野郎。」
    ドアが閉まる寸前、掠れた声で呟かれた言葉に思わず手を伸ばすが遅かった。背を向け中指を立てたギャビンとの間に隔てられた自動ドアはとても分厚く感じた。


    「只今戻りました。」
    「おう、遅かったな。」
    「実は便秘気味でして。」
    腹部を擦りながら深刻そうに小声で伝えると、ハンクは睨めっこしてたPCにコーヒーを噴き出した。
    「お前なぁ!」
    「軽いアンドロイドジョークのつもりだったのですが。お詫びに報告書は僕が作ります。」
    ハンクにタオルを渡しながら、然り気無くギャビンのデスクを確認する。本人は不在だった。
    「今日はエイプリルフールだったのですね。皆さんにまんまと騙されました。」
    「あいつら楽しんでるな。」
    「ええ。なので僕も便乗しようかと。ハンクにもお裾分けです。」
    ドヤ顔で伝えるとデコピンされた。
    「ちっとは反省しろ!こういうことは俺じゃなくてギャビンにしとけ。」
    「先程試しました。かなり怒らせてしまったようですが…」
    「それでか…気分悪いって早退していったぞ?何言ったかは知らんが早めに謝るんだな。長引けば長引くほど謝りにくくなる。」
    子どもに言い聞かせるよう、大きな手が頭をグシャグシャにかき混ぜる。今回は自分が悪い自覚はあったので、素直に謝罪しようと心に決めた。
    「あと嘘ついていいのは午前中だけだから程々にしろよ。」
    「えっ!?」
    慌ててメモリーを再生する。彼が大好きだと言ったのは12時を過ぎていた。暗に大嫌いと言われた時の彼の表情。凍りついた空気。全てのピースが嵌まっていく。
    「なんだ知らなかったのか?」
    咄嗟に出た大声にハンクは目を丸くした。
    「…はい。あの…僕も早退していいですか?」
    「さっさと行ってこい!便秘のアンドロイドは使い物にならねぇ。メンテナンスって事にしといてやる。」
    「ありがとう、ハンク!」
    即座にギャビンの家までのルート、立ち寄りそうな場所をピックアップする。リミッターを外し、最短ルートを駆け出した。

    この不誠実な関係に終止符を打とう。尋問は得意なんだ。覚悟して下さいね。ギャビン。


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